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AIは仕事を奪うのか、熟練技術を受け継ぐ担い手になるのかAI&IoTセミナーレポート(1/2 ページ)

菱洋エレクトロは、東京都内でAI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)をテーマにしたセミナー「RYOYO AI Realセミナー 〜AIがビジネスを変革する〜」を開催。注目を集めるAIやIoTに対してどのようなアプローチや活用方法があるのか、製品やサービスの開発にどのように適用すべきかについてさまざまな講演が行われた。

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 菱洋エレクトロは2017年10月24日、東京都内でAI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)をテーマにしたセミナー「RYOYO AI Realセミナー 〜AIがビジネスを変革する〜」を開催。注目を集めるAIやIoTに対してどのようなアプローチや活用方法があるのか、製品やサービスの開発にどのように適用すべきかについてさまざまな講演が行われた。

 今回のセミナーのテーマであるAIは、今やほぼ毎日見聞きするようなバズワードになっている。特に、単純作業をはじめとする業務の効率化で大きな効果を見込めることもあり「AIが仕事奪う」という論点で語られることも多い。高齢化による労働人口の減少という課題を抱える日本では、AIの技術開発のみならず“AIとの付き合い方”もしっかりと検討する必要がある。

「なくなる仕事や習慣もあるが、新しく生まれる職業、生活がある」

 基調講演に登壇したジャーナリスト/メディア・アクティビストでポリタス編集長の津田大介氏は、「そもそもAIとは?」という分かりやすい解説とともに、AIと日本の社会が共生する未来について語った。

基調講演に登壇した津田大介氏
基調講演に登壇した津田大介氏

 津田氏は、2000年代に矢継ぎ早に起こっているインターネットとモバイルの変化の歴史について説明。特に、一人一人の個人にスマートフォンが普及してインターネット利用が新たなステージに入った2010年代以降、「ビッグデータ」というもう1つのキーワードが広まり始めた時代に焦点を当てた。

 データを収集、分析してサービスに生かす。そして回収されたデータをさらに次のサービスに活用する。そのサイクルが非常に速くなっている。津田氏は世界の先進的なテクノロジー事例をあげながら「テクノロジーによってなくなる仕事や習慣もあるが、その代わりに新しく生まれる職業、生活がある」と強調。「そうした時代に生き残るためには、時代に合わせて自らの事業や組織体を変えていくことが重要である」(同氏)と締めくくった。

 次に講演を行ったのは、クロスコンパス 取締役 兼 事業開発部長の鈴木克信氏である。同社はAIを開発するITベンチャー企業であり、特に製造業向けのAIのコンサルティングや開発に強みを持つ。

クロスコンパスの鈴木克信氏
クロスコンパスの鈴木克信氏

 鈴木氏は、製造業向けを中心としたAIの学習のさせ方について紹介した。クロスコンパスが製造業に強みを持つ理由は、型にはめずにAIを学習させられるからだ。例えば、異常値を検知する場合には、「ある閾値以上になるかならないか」を見るのではなく、通常時と比べて「何か変化がある」を見るという、より熟練者に近い異常検知ができるようになっている。

 ある一定の学習をさせた後は検知結果のフィードバックも学習させ「あれ、いつもと違うな?」といった、検査には引っ掛からない程度の異常や通常時からのささいな変化を読み解くことができるようになる。

 日本はモノづくりが強みだといわれる。しかし、人口減少の待ち構える中で、今ある熟練工のノウハウの継承先は確保できていない。今何も手を打たなければ、そのノウハウが失われてしまう。より柔軟なAIが開発されれば、人間が体得した知恵を途切れることなく継承していくことも可能だ。

 日本ヒューレット・パッカード(HPE) データセンター・ハイブリッドクラウド製品統括本部 サーバー製品本部の岡野家和氏は、AI開発の根幹をなすディープラーニングを支えるプロダクトを紹介した。

HPEの岡野家和氏
HPEの岡野家和氏

 HPEが他のサーバベンダーと異なるのは、エッジコンピューティングのためのサーバをラインアップの1つとして展開している点だ。データセンターといえば熱の問題も大きいが、同社は水を無駄に使わない冷却システムも開発している。その一方で、AI開発に必須となるHPCについても、東京工業大学の大岡山キャンパスにある世界最大級のサーバを提供するなどしている。

 IoT時代を迎え、今後エッジにあるデバイスはどんどん増えていく。これらエッジデバイスから得られるデータを現場で効率的に解析するエッジコンピューティング、解析結果から新たなAIを開発したり知見を導き出したりするHPCの両面で、HPEはIoTやAIを支えるインフラを包括的に提供していくとのことだ。

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