自動車アセスメントのための技術開発ではない、もっと安全なクルマを作るため:大学キャンパス出張授業(1/2 ページ)
自動車業界の経営トップが大学生にクルマ・バイクの魅力や楽しさ、日本のモノづくりの重要性を伝える「大学キャンパス出張授業」。安全という個性を確立するまでの取り組みを伝えた、東京工業大学でのスバルの講演を紹介する。
日本自動車工業会は各地の大学と連携し、会員メーカーから講演者を派遣して特別講演を行う取組み「大学キャンパス出張授業 2017」を実施した。今回で5年目の開催となる。
自動車メーカーや二輪車メーカーの経営トップが講師として登壇。先端技術やグローバル戦略など幅広いテーマの授業を通じて、大学生らに向けてクルマ・バイクの魅力や楽しさ、日本のモノづくりの重要性を伝えている。
東京工業大学では2017年10月12日、SUBARU(スバル) 社長兼CEOの吉永泰之氏と同社 専務執行役員兼CTOの日月(たちもり)丈志氏が「個性を活かして生きようよ!」をテーマに、スバル車が安全という個性を確立するまでの取り組みを紹介した。
スバルがスバルの個性を見つけるまで
SUBARUはここ4年間、2桁の営業利益率を確保するなど好調な業績をキープしている。2016年度の業績は売上高3.3兆円、営業利益5656億円、営業利益率12.4%だったが、さかのぼれば5〜6年前までは業績が低迷していた。2011年度は売上高1.5兆円、営業利益440億円、営業利益率2.9%だった。
吉永氏は「業績が厳しい時代に『われわれの個性とは何だろう』『われわれは何者か』など社員とさまざまな議論を重ねた。そのたどり着いた答えに沿って、戦略を立てて進んだ結果、現在に至っている。自分で自分の強みは意外と分からないもので、自分自身では当たり前だと思っていることが個性ということもある。今回はこうしたことを話したい」と前置きして、話を進めた。
吉永氏は1954年東京生まれ、1977年にスバルに入社。国内営業部門に長く携わった後、戦略本部や経営企画部を経験し、常務執行役 国内営業本部長、取締役 専務執行役員を経て、2011年に代表取締役社長に就任した。社長に就いた時期と業績が伸び始めた時期が重なっているのである。
スバルは2017年4月に、富士重工業からスバルに社名を変更した。現在は自動車部門と航空宇宙カンパニーの2部門に事業を集約している。「スバル360」に代表されるように軽自動車のイメージも強いが、数年前から自社での開発生産は行っていない。
自動車以外では、ボーイングやエアバス社など向けに「中央翼」などを生産している。防衛関連では最近は自衛隊からUH-X多用途ヘリコプターを新たに受注し、開発を始めているという。同社の前身は1917年創業の中島飛行機(飛行機研究所)であり、一式戦闘機隼(はやぶさ)や零式艦上戦闘機(ゼロ戦)を生産していた。
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