富士通がVRソリューションを披露、平面ディスプレイとHMDの2タイプをそろえる:VRニュース
富士通は、「Japan VR Summit 3」のショーケースにおいて同社のVR(仮想現実)ソリューションを披露した。展示したのは平面ディスプレイを用いる「zSpace」とヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いる危険教育用のVRコンテンツの2つだ。
富士通は、「Japan VR Summit 3」(2017年10月11〜13日、東京ビッグサイト)のショーケースにおいて同社のVR(仮想現実)ソリューションを披露した。展示したのはVRディスプレイ「zSpace」と危険教育用のVRコンテンツの2つだ。
zSpaceは、偏光メガネを装着したユーザーから、平面のディスプレイ上に表示したコンテンツが立体的に浮き上がって見える。専用スタイラスによって、コンテンツを自在に操作することができるシステムである。
用途は「VR空間での体験的な業務トレーニング」「モノづくりの仮想検証」「手術ナビゲーション・医療トレーニング」「教育分野」「販売店向け販促・構成確認ツール」「インテリア/エクステリアシミュレーター」などだ。国内では、米国ベンチャーであるzSpaceからライセンスを得て富士通が販売している。
zSpaceの特徴は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いるVRシステムと比べて、いわゆる“VR酔い”しづらいこと、操作がしやすいこと、偏光メガネが軽量であることだ。富士通が国内販売を始めて3年ほどだが、ガス会社の業務トレーニングや、セイコーミュージアムにおける時計のムーブメントの仕組み分かりやすく紹介する展示などに用いられている。「米国では、酔いづらいVRシステムとして教育分野で広く採用されている」(富士通の説明員)という。
「短絡体験」で失敗すると目の前で盛大に火花が散る
危険教育用のVRコンテンツでは「高所作業体験」「交通整備体験」「短絡体験」という3種類のデモを披露した。VRコンテンツのコンセプト設計(シナリオ、絵コンテなど)は富士通デザインが、3Dデータをはじめコンテンツの作成はグリーが担当した。既に、携帯電話会社のインフラ整備業務のトレーニング向けなどに採用されている。
富士通デザインの説明員は「顧客の現場に実際に赴くなどして、そこで得た気付きなどを反映してコンセプト設計を行うことにより、実務に即したVRコンテンツを提供できている」と説明する。
また、展示ではHTCの「VIVE」を用いていたが「富士通グループで独自にVRシステムを開発しており、今後はそれを活用する可能性もある」(同説明員)という。
関連記事
- 3D CADで作った3Dデータを生かし切るVRとARの進化
AI(人工知能)と同じく2016年にブームを迎えたVR(仮想現実)。2017年以降、このVRが、製造業や建設業の設計開発プロセスに大きな変化を与えそうだ。AR(拡張現実)についても、「デジタルツイン」をキーワードに3D CADで作成した3Dデータの活用が進む可能性が高い。 - 「VR=仮想現実感」は誤訳!? VRの定義、「製造業VR」の現状と課題
製造業VR開発最前線 前編では、VRやAR、MRの概要、製造業向けVRの他の分野のVRとは異なる特徴、これまでの状況などを説明する。 - 「とにかくデータが巨大」「ケーブルが邪魔」――製造業VRの悩ましい課題を乗り越えよ!
製造業VR開発最前線 後編では、実際の導入を検討するにあたっての具体的な事項や、今後の具体的な発展、製造業でのゲームエンジンの利用によるVR開発の広がりについて説明する。 - 見えるぞ! 私にも理想の部屋が見える! ――zSpaceを利用した3Dインテリアシミュレータお披露目
建材メーカー サンワカンパニーの大阪ショールームで、没入型ホログラフィック・ディスプレイシステム「zSpace」を利用した「3Dインテリアシミュレータ」が展示される。3Dシミュレータの開発を担当したカディンチェは、展示の反響次第で自動車など製造業へも同様なシステムの開発・外販を検討したいとのこと。 - 3次元モデルが目の前にあるみたい! スタイラスで突いて、回して、裏返して――zSpace
3次元データを立体視可能なVRシステム「zSpace」の製品説明会が開催された。同製品は、自分の目の前にあるかのような3次元モデルをスタイラスで突いて、自由に回して眺めることが可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.