機能拡張したモデルベース検証支援ツールの最新版:組み込み開発ニュース
キャッツは、モデルベース検証支援ツールの最新版「ZIPC Tester Ver.3.1」を発表した。Simulinkのモデル検証の担当者依存や担当者の負担を軽減して、モデル検証をより一層効率的に支援する。
キャッツは2017年9月5日、モデルベース検証支援ツールの最新版「ZIPC Tester Ver.3.1」を発表した。同年10月31日より販売を開始する予定で、自動車メーカーやサプライヤー企業を中心に、今後3年間で1億円の売り上げを見込む。
ZIPC Tester Ver.3.1は、制御システム開発技法の主流であるモデルベース開発(MBD)において、Simulinkのモデル検証を効率化するツールだ。テスト入力波形設計に特化したエディタにより、テスト設計を効率化できる。また、入力の組み合わせの自動生成や対象システムの状態遷移モデルからのテストパターン生成にも対応。テスト資材とテスト結果を一元管理する他、テスト結果の自動判定や波形比較ビューにより、効率的にテスト結果を確認できる。
最新版では、Stateflowと状態遷移表の双方向コンバート機能を追加。Signal Builderのmスクリプトの生成からSimulinkでのテスト実行までをシームレスに実行できる。他に、シナリオエディターやテストケースのマネジメント機能のユーザビリティが向上したことで、Simulinkのモデル検証の担当者依存や担当者の負担を軽減し、モデル検証を効率的に支援する。
車載システムはさまざまなシステムと接続するため、複雑な制御を高品質で開発する必要がある。そのため、自動車に代表される制御システム開発はMBDが主流になりつつあり、モデル化による仕様や設計の可視化などで開発効率/品質が向上している。一方で、モデルの検証方法は担当者に依存することが多く、テスト設計、確認方法、品質などに多くの課題を抱えていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- いまさら聞けない モデルベース開発入門
あなたは人に「モデルベース開発」を正しく説明できるだろうか? プロセス改善手法の1つであるモデルベース開発の概念や特徴について解説 - モデリング言語 SysMLを概観する
UMLを基に、よりコンパクトな言語仕様として策定された「SysML」。その誕生の経緯を紹介するとともに、SysMLの特徴・概要を紹介する - 組み込みシステム開発における“モデル”とは?
組み込み開発に不可欠な2つの世界 ―ソフトウェアと制御― のモデルを使ってどのように開発が行われるのかを解説 - 状態遷移表設計手法の概要
組み込みソフトウェアには、さまざまなイベントに対し、その時の状態に応じた処理を行わせる必要がある。そのため「状態遷移表」を用いた設計が適している。本連載では、状態遷移表による設計手法について解説していく。 - モデルベース開発って、どう教えればいいの?
全社のモデルベース開発におけるライセンス管理やデータマネジメント、そして教育を目的とした基盤強化チームに選ばれた京子。まずは、最大の課題と感じていた、モデルベース開発を知ってもらうための教育カリキュラム作りに取り組むことになった。 - HILSとは何か
最新の高級自動車は200個ものコンピュータを搭載しているといわれる。ECU(電子制御ユニット)と呼ばれるこのコンピュータが、正しく動作するかどうかを試験するテスト装置として注目を集めているのがHILSだ。本連載では、HILSの導入や、HILSを使ってECUのテストを行うための基本的な知識の提供を目指す。連載第1回は「HILSとは何か」だ。