電動化やIT化が進もうと、トヨタは「自分で運転したい魅力的なクルマを作る」:モータースポーツ
トヨタ自動車はスポーツカーシリーズ「GR」を投入すると発表した。「ヴィッツ」「プリウス PHV」などの既存車種をベースに、モータースポーツ活動から得た知見やノウハウを盛り込む。これまでのスポーツコンバージョン車「G Sports(G's)」を引き継いだシリーズとなる。
トヨタ自動車は2017年9月19日、東京都内で会見を開き、スポーツカーシリーズ「GR」を投入すると発表した。「ヴィッツ」「プリウス PHV」などの既存車種をベースに、モータースポーツ活動から得た知見やノウハウを盛り込む。これまでのスポーツコンバージョン車「G Sports(G's)」を引き継いだシリーズとなる。
エンジンまでチューニングした数量限定モデルの「GRMN」、量販スポーツモデルと位置付け足回りや駆動系に手を加えた「GR」、ミニバンなどでも気軽にGRらしい乗り味を楽しめる「GR SPORT」を設定する。
同日付でヴィッツのGRとGR SPORT、プリウスPHV、「ハリアー」「マークX」「ノア/ヴォクシー」のGR SPORTを全国のトヨタ販売店から発売した。今後はヴィッツのGRMNを投入するなど、2018年春に向けてさらに車種を拡充していく。
車両価格はヴィッツの場合、GRが230万円、GR SPORTが208万円からとなり、いずれもエンジンの排気量は1.5l(リットル)だ。なお、ヴィッツのノーマルモデルは排気量1.0lのエンジンを搭載したベースグレードで118万円から。
スポーツカーの収益とモータースポーツ活動の循環
GAZOO Racingカンパニーのプレジデントを務めるトヨタ自動車 専務役員の友山茂樹氏は「GRシリーズを通じて、クルマ好きの人やクルマに興味がないふりをする人のスポーツカー魂に火を点けたい。“若者のクルマ離れ”といわれるようになって久しいが、『86』やG'sの購入者の3〜4割を30代以下の年齢層が占めている。これはわれわれにとって希望だ。もっと若い世代にわれわれの方から近づいていかなければならない。(友山氏は)IT本部やコネクテッドカンパニーのトップも兼務しているが、電動化やIT化が進もうと、ユーザーが乗りたくなる、自分で運転したくなる魅力的なクルマを作り続けていく」とコメント。
また、モータースポーツ活動については「予算ありきで参加したりしなかったりするご都合主義ではいけない。モータースポーツ活動を通じてファンを増やすとともに社員とクルマを鍛える。そのノウハウから世界に通用するスポーツカーを販売して収益を上げ、収益をモータースポーツ活動に投下していく。景気に左右されないモータースポーツ事業の実現を目指す」(友山氏)と説明した。
スーパーチャージャー付き210馬力のヴィッツ、排気量は1.8l
GRシリーズは、吸気冷却性能を最大限に高める大きく開いたフロントグリルなど、機能性を示すデザインを採用した。外観は、ホワイトのボディーカラーにGRのロゴ入りのブレーキキャリパーを設定する他、専用のエンブレムを装着する。インテリアは専用のスポーツシートの他、スポーティーさを演出する専用の加飾を施す。
車体には、車種に応じてスポット溶接の打点を増やしたり、補強材を追加したりする。ヴィッツのGR/GR SPORTは5速MTとCVT(無段変速機)が設定されており、CVTは10速スポーツシーケンシャルシフトマチックを採用する(GR SPORTのみハイブリッドシステムも選択可能)。「まるで運転がうまくなったかのように感じる。意のままに走る」(友山氏)のがGRシリーズなのだという。
2017年冬には86のGRが、2018年春にはヴィッツのGRMNなどが追加される。ヴィッツ GRMNは排気量1.8lのエンジンにスーパーチャージャーを組み合わせ、最大出力は210馬力以上、最大トルクは250Nmを発揮する。車両重量は1140kgだ。
GRシリーズは海外にも展開する。2017年3月のジュネーブモーターショーではヤリス(日本名ヴィッツ)のGRMNバージョンが披露されており、日本に先駆けて2018年1月1日の発売を予定している。400台の限定販売だが、既に予約分で完売。なお、同ショーではヤリス GRMNに6速MTを搭載すると発表された。
GAZOO Racingカンパニーでは、今後スポーツカー専用プラットフォームの開発にも取り組んでいく。
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