「Bluetooth Mesh」が家電のIoT化を加速する:IoT観測所(36)(2/3 ページ)
メッシュ接続が可能なBluetoothである「Bluetooth mesh」の仕様が策定された。既に利用されているZigBeeやZ-Waveなどのメッシュネットワークと異なるのは、Bluetoothを搭載するスマートフォンやタブレット端末をコントローラーとして利用できる点だ。
Bluetooth搭載のスマホやタブレット端末がコントローラーに
その一方でBluetooth Meshに対応したアプリケーションは、そのままのハードウェアでメッシュネットワークにアクセスが可能になるというものだ。このメッシュネットワークは「Silvair Mesh」と呼ばれ、2016年11月にロンドンで行われた「LuxLive 2016」では実際にデモなども行っている。このSilvair MeshはGATTに独自拡張を行うことで、8台以上の機器に接続可能になっており(Bluetooth 4.0は8台まで)、これを利用して1台のコントローラーで30個程度の周辺機器を管理できる。
ここで言うコントローラーはAndroidまたはiOSが動くスマートフォンもしくはタブレット端末で、これを超える台数の管理が必要な場合は「Silvair Logic」と呼ばれるコントローラーが全体の管理をすることになっている。
ちなみにSilvairは最初のアイデアとして照明機器の制御を考えており、このためSilvair Meshの最初の実装では照明のオンオフのみが可能になっていた。しかしすぐに拡張されており、照明のオンオフだけでなく照度や色温度の制御、照明以外にも空調機器向けに温度やファンのオンオフ、シェードの位置なども制御可能になっている。
メッシュの最大ホップ数は63とされている。このSilvair Meshではコネクションレス通信を採用しており、全ての機器は自分の状態を自身でアドバタイズする仕組みをとっている。このため、コントローラーを立ち上げると、利用できる機器の一覧とそのパラメータが表示されるだけでなく、状況が変わるとそれが自動的に更新されるという仕組みである。
セキュリティに関して言えば、コントローラー側には権限としてAdministrator(メッシュネットワーク内の全ての機器の操作、及びユーザーの権限管理が可能)、Family(メッシュネットワークの全ての機器の操作が可能だが、ユーザーの権限管理は出来ない)、Guest(一部の操作が可能)、AdHoc(パブリック機器のみを個別に操作可能:メッシュネットワークにはアクセスできない)の4種類が用意され、この権限を制御することで、周辺機器と利用者に対する適切なコントロールを行えるようにする。
また周辺機器側にはPeripheral Devices Statusという概念が追加され、Factory Default(工場出荷状態)、Private(全ての通信が暗号化され、適切なキーを保有しないと通信できない)、Public(Statusと一部の制御機能が非暗号化され、誰でもアクセス可能)という3つのステータスが利用できるようになっている。
Silvair Meshはさらにクラウドサービス「Silvair Cloud」とも連携することで、それこそ「HomeKit」とか「AllJoyn」などの先行する標準規格と変わらない使い勝手を実現している。以下に紹介する映像は、Silvairが“Silvair smart lighting platform”として紹介しているもので、照明の分野に限ったソリューションではあるが、すぐに利用できるとして提供を行っている。
ちなみにハードウェアとしては、TIの「CC254x Wireless MCU」をベースとした参照デザインも提供されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.