「実機レスによりデバッグ完了期間が1週間短縮」は大きいといえるのか:3D設計推進者の眼(23)(3/3 ページ)
機械メーカーで3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回は、フロントローディングとはどういうことなのか、実機レスデバッグの試算例も見ながら考えてみる。
それぞれのプロが団結して実現するフロントローディング
前回、「コンカレントエンジニアリングは逃げだ」と言っていた人の話を出しました。私としては、会社とはプロフェッショナルな人の集団であって、個々がそれぞれの分野のプロフェッショナルであるべきだと考えます。プロフェッショナルたちが参画することで初めてフロントローディングは成り立ちます。
また、これを説明するに当たっては、今はあまり聞かなくなったコンカレントエンジニアリングが適しているのだと考えています。
DRにおいて、まさかそこで初めて設計者は仕様を伝えているわけではないですよね? 逆に、参加者は、DRの場で、初めてその仕様を聞いているわけではないですよね?
設計者は事前に参加者の皆に資料提出しているはずで、参加者は事前にその資料を確認の上、参加しているはず。思い付きでの発言はないですよね?
装置仕様と原価試算は、過去の正しい実績データを参考に使用していますよね? そのデータは社内で管理され、共有されているはず。それぞれの承認ワークフローも確立されているはずですよね?
過去の問題は誰が管理していますか?
管理とは、単にまとめることではありません。対応は直接部門が行うにしても、その進捗状況を把握して、その部門を動かすことだと思います。動いた部門は部門内できちんと対策をしているはずです。
私自身反省しなければいけないことが多いのですが、皆さんはどのように考えますか? これらをうまく動かしていくには、マインドと仕掛けが必要です。(次回に続く)
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