発表まで1カ月、日産の新型「リーフ」の詳細が少しずつ明らかに:電気自動車
日産自動車が、2017年9月6日に全面改良して発表する電気自動車(EV)「リーフ」について詳細を少しずつ明らかにしている。「プロパイロット」や自動駐車システム、ペダルを踏み変える負担を軽減する「e-Pedal」など盛りだくさんだ。
日産自動車が、2017年9月6日に全面改良して発表する電気自動車(EV)「リーフ」について詳細を少しずつ明らかにしている。
「国産車初」の自動駐車システム搭載
最初に明らかになったのは、高速道路の同一車線での自動運転機能「プロパイロット」の採用だ。プロパイロットの採用は、2016年8月に発売した「セレナ」、2017年に一部改良を実施した「エクストレイル」に続き3モデル目となる。2017年7月末の時点で、プロパイロット装着モデルの販売台数は5万台を超えた。
Renault(ルノー)と日産自動車のアライアンス(ルノー・日産アライアンス)は2020年までに自動運転技術を10車種以上に採用し、日本、欧州、米国、中国の主力車種に導入する計画だ
導入する自動運転技術は3段階に分かれている。セレナから採用を始めたプロパイロットに続き、2018年には危険回避や車線変更を自動的に行う、複数車線での自動運転技術を導入。そして2020年までに、交差点を含む一般道でドライバーが運転に介入しない自動運転技術を導入する予定である。
自動駐車システム「プロパイロット パーキング」も新型リーフで採用する。起動した状態でドライバーが駐車スペースを決めると、アクセル、ブレーキ、ステアリングの操作を車両側で行うというものだ。
日産自動車はプロパイロット パーキングについて「国産車初の本格的自動駐車システム」としている。欧米自動車メーカーでは、Mercedes-Benz(メルセデスベンツ)やTesla(テスラ)がアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動で制御する自動駐車システムを採用。BMWは、前後の直線移動に限られるが、車外からキーで操作できる「リモートコントロールパーキング」を導入している。
日産自動車は既に駐車支援機能「インテリジェントパーキングアシスト」を、エクストレイルとセレナに採用しているが、この機能で自動制御するのはステアリングのみだった。アクセルとブレーキまでシステム側で操作するため「本格的」と冠するようだ。
この他にも新機能の採用を発表している。アクセルペダルのみの操作で発進、加速、減速、停止保持を行う「e-Pedal」だ。アクセルペダルをゆるめると減速して最終的には停止する。坂道でも停止状態を保持し、アクセルペダルを踏むと再び発進できる。運転感覚としてはハイブリッドモデルの「ノート e-Power」が近そうだ。
空力を徹底したデザインを予告するイメージスケッチも公開している。
走行距離はどこまで伸びるか
リーフは2010年12月に発売し、2015年12月には販売台数が20万台に達した。北米、日本、欧州での販売が全体の90%を占めている。北米が9万台超、日本が5万台、欧州が4万台となっている。
2015年末には、バッテリー容量30kWhのグレードを追加。走行距離はJC08モードで280kmで従来比で20%以上増やした。バッテリー容量24kWhのグレードは走行距離がJC08モード228kmだ。
日産自動車のハイブリッド車や電気自動車にバッテリーを供給するオートモーティブエナジーサプライは、2018年までにエネルギー密度を現状の1.3倍以上に向上したEV用リチウムイオン電池を日産自動車向けに供給する計画だ。走行距離を従来の1.5〜2倍に伸ばせるとしており、日産自動車は新型リーフの走行距離について明らかにしていないが、このリチウムイオン電池が採用されれば、走行距離は420〜560kmとなる可能性もある。
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