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200年謎だったガラスとシリコーンの基本構造を世界初解明、高機能化に道筋材料技術(1/2 ページ)

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と産業技術総合研究所(AIST)など5者は、ガラスやシリコーンの基本単位構造であるオルトケイ酸の結晶の作製に成功したと発表。この研究成果は、ケイ素化学における200年の謎を解明するとともに、ケイ素材料の高機能、高性能化に道筋を付けるものだ。

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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、産業技術総合研究所(AIST)、日本原子力研究開発機構(JAEA)、J-PARCセンター、総合科学研究機構(CROSS)の5者は2017年7月27日、ガラスやシリコーンの基本単位構造であるオルトケイ酸(Si(OH)4)の結晶の作製に成功したと発表した。

 ガラスやシリコーンを製造するため、原料のアルコキシシラン(Si(OR)4)や四塩化ケイ素(SiCl4)を加水分解する際にオルトケイ酸が短時間存在することは知られていたが、その分子構造や安定的な合成法は解明されていなかった。オルトケイ酸の安定的合成と基本構造の解明により、基本単位から構造が制御されたシリコーンの合成が可能となり、高機能、高性能ケイ素材料製造への貢献が期待されるという。

ガラスの基本単位であるオルトケイ酸と発見したその分子構造
ガラスの基本単位であるオルトケイ酸と発見したその分子構造(クリックで拡大) 出典:NEDO

ケイ素化学における200年の謎を解明

 無機ケイ素材料であるガラスや、有機ケイ素材料であるシリコーンは、自動車をはじめさまざまな製品に利用されている材料である。特に有機ケイ素材料については、炭素系のポリマー材料よりも優れた耐熱性や耐寒性、耐光性、電気絶縁性、離型性、撥水性などの物性を有しており、さまざまな製品の長期安定性に貢献している。その一方で、要求される性能水準も年々高まっており、より高機能、高性能な有機ケイ素材料の開発が望まれている。例えば、電子機器の小型化やLED高輝度化に伴う発熱や高強度の光に長期間耐える材料の開発などが挙げられる。

 そういった高機能、高性能ケイ素材料を製造する上で求められているのが、無機ケイ素材料の基本単位構造であるオルトケイ酸の分子構造の解明、安定的な合成と単離である。しかし、スウェーデンの化学者であるイェンス・ベルセリウスが二酸化ケイ素(SiO2、シリカとも)が水に溶ける現象を発見し、溶解性のシリカであるオルトケイ酸の化学がスタートした19世紀前半から今日まで、オルトケイ酸の分子構造は解明できていなかった。

 その組成がSiO4H4であると判明し、ケイ素上に4つの水酸基(-OH)を有する構造(Si(OH)4)であることが分かったのは20世紀初頭から中頃にかけて。加水分解によってオルトケイ酸の発生は観測されていたものの、速やかに重縮合し、最終的にはシリカになってしまうため、単離された例は皆無だった。そして現在に至るまで、理論計算による分子構造の推測が行われてきただけだった。今回の研究成果は、ケイ素化学における200年の謎を解明するとともに、ケイ素材料の高機能、高性能化に道筋を付けるものとなる。

従来法である加水分解法の問題点
従来法である加水分解法の問題点。オルトケイ酸は速やかに重縮合して氏理化になってしまう(クリックで拡大) 出典:NEDO

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