PCメーカーが提案するIoTプラットフォームは「囲い込まない」:製造業IoT(1/2 ページ)
NECパーソナルコンピュータとキュレーションズは、企業がIoTデバイスを利用したサービス提供を簡単に行うためのIoTプラットフォーム「plusbenlly(プラスベンリー)」を共同開発した。既に無償のβ版を公開しており、2017年内に正式版をリリースする計画である。
NECパーソナルコンピュータ(NECPC)とキュレーションズは2017年7月19日、東京都内で会見を開き、企業がIoT(モノのインターネット)デバイスを利用したサービス提供を簡単に行うためのIoTプラットフォーム「plusbenlly(プラスベンリー)」を共同開発したと発表した。同日から無償のβ(試作)版を公開しており、同年内に正式版をリリースする計画である。
会見には、NECPCとキュレーションズの他「plusbenlly」のパートナー企業が参加した。右から、NECPC社長の留目真伸氏、ロフトワーク 代表取締役の林千晶氏、さくらインターネット フェローの小笠原治氏、オイシックスドット大地 執行役員 統合マーケティング部 部長 Chief Omni-Channel Officerの奥谷孝司氏、オムロン 技術・知財本部 SDTM推進室長 経営基幹職の竹林一氏、キュレーションズ 代表取締役 CEOの根本隆之氏(クリックで拡大)
plusbenllyは、ネットワーク機能を備えたIoT家電やウェアラブルデバイス、SNSをはじめとするインターネットサービスなどを相互に接続し、自由に組み合わせる機能を提供するクラウド上のバックエンドサービスだ。企業向けに提供されるB2Bのサービスであり、ユーザー企業はplusbenllyを経由して異なるメーカー間のIoT機器を組み合わせて新たなサービスとして提供したり、機器から収集されるデータやインターネットサービスの情報を組み合わせて自社サービスの利用者に有益な情報として提供したりできる。複雑な機器間の接続やデータの交換はplusbenllyにあらかじめ設定されているため、ユーザー企業は簡単にIoT機器とインターネットサービスを連携させられる。
また、NECPCとキュレーションズは、plusbenllyの利用を希望する企業に対しコンサルティングやパートナーのマッチングサービスも行い、新しいビジネス創造の種を具体的に提示していくという。
「これがIoTだ」という新しいサービスは生まれているのか
会見の冒頭で、NECPC社長の留目真伸氏は「家電製品がスマートフォンやタブレット端末につながる、ロボットが工場で使われる、サプライチェーンが効率化される……。これらはIoT活用の第一歩にすぎない。全てのモノがインターネットにつながる以上、IoTによってさまざまな課題が解決されるべきだが『これがIoTだ』という新しいサービスは生まれているだろうか。課題は解決されているだろうか」と問いかけた。
留目氏の問いかけは、さまざまなIoTプラットフォームが提案され、新たなIoT活用サービスに向けた取り組みが進んでいるにもかかわらず、業界間にまたがるようなユーザー体験(UX)が生み出されていない現状に対するものだ。「つながることで、データが流通することで、もっともっと自由に結び付く必要がある」(留目氏)。
plusbenllyは、業種や業界を横断した結合を生み出すオープンなIoTプラットフォームになっている。大手ITベンダーのIoTプラットフォームが“囲い込み”をしがちなのに対して、センサー情報を収集するさまざまなIoTデバイス、新たに考案したIoTサービスをつなげるデータ流通プラットフォームとしての役割を担う。「IoTデバイスとIoTサービスだけでなく、IoTデバイス同士、IoTサービス同士もつなげる土管のような役割だ」(キュレーションズの説明員)という。
そして、オープンにつなげることを目的としているのもあってか、plusbenllyは“IoTオープンイノベーションプラットフォーム”と呼称されている。
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