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スズキのスペシャリティーカー「スイフト」は静岡の味!?乗って解説(2/4 ページ)

走りにこだわるコンパクトカーとしてクルマ好きから熱い支持を集めるスズキ「スイフト」。走りとデザインにこだわる現行モデルは、電動化や新技術といった“飛び道具”は控えめに、効率的な設計と軽量化というオーソドックスな手法で、真面目かつ爽やかな乗り味のクルマに仕上げた。グレード別に乗り比べ、スイフトの魅力について考えてみた。

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先代モデルでも好評だったフロントシートはさらに進化。形状を最適化するとともに表面の当たりが柔らかな素材に変更した
先代モデルでも好評だったフロントシートはさらに進化。形状を最適化するとともに表面の当たりが柔らかな素材に変更した(クリックして拡大)

 フロントシートの出来の良さもスイフトの特徴だ。固めで大ぶりなサイズが特徴の先代も国産小型車としてはまずまずの出来であったが、現行モデルはただ固いだけでなく当たりの柔らかさを実現しつつも腰部など身体をしっかりと支える構造となっている。ステアリングも上下前後に調整幅が広く、総じて満足できる運転環境といえる。

 ただ、デザイン重視で樹脂の化粧パネルをグリップ部に用いたステアリングは、ハンドルを回すたびに握り心地が変わることに疑問を感じた。もっとも高級車でもウッドと革のコンビステアリングを採用しているので、これはスイフトに限った話とはいえないが。

 インテリアはドライバー主体のスポーティーなデザインを採用した。エアコンの操作系などセンターパネルはBMWのようにドライバーに向かって5度傾けた。シルバーやピアノブラックの化粧パネルを随所に用いて今風の質感を演出している。細部までしっかりと作り込みつつもどこかビジネスライクな印象が否めなかった先代に比べてデザイン性は高めたものの、マツダ「デミオ」のような上質さや色気は感じなれない。素材や色使いも含めて良くも悪くも男性的で真面目なインテリアに仕上がっている。

ステアリングはグリップ部にも樹脂パネルを採用。デザインを重視したのだろうが握り心地はイマイチ(左)。運転席に傾けたセンターパネルや丸型の空調吹き出し口を採用し、先代モデル以上にスポーティーさを強調(右)(クリックして拡大)

驚異の軽量化

 現行スイフトの最大の売りは、新型プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」の採用をはじめとした徹底的な軽量化だろう。アンダーボディーの骨格が滑らかな曲線を描くような合理的な設計とすることで強度を高めて余分な補強部品を排除した。さらにエンジンや足回り、内外装などあらゆる部分の設計を見直して徹底的な軽量化を図った結果、排気量1.2l(リットル)のMT車でクラス最軽量となる840kgという車両重量を実現。これは先代に比べて120kg軽量なほか、かつて販売されていた軽ベースの“79万円スイフト”と比べてもさらに軽い。

 人間も体重を絞ると、足取りは軽やかになるし、服の選択肢も増える。健康診断の数値も改善されるなど良いことずくめなケースが多い。クルマも同様で、軽さは動力性能や旋回性能、燃費の改善などさまざまな効能を発揮する。

 その一方で、行き過ぎたダイエットは、基礎体力を低下させる懸念もある。軽量化を徹底した先代デミオなどは、新車時は気分よく運転できたが、カーシェアリングなどの多走行車ではヨレヨレの状態に遭遇することもある。

 新型スイフトでは、軽快な乗り味を実現しながらも、フロアやボディーはカチッとしている。安っぽい軽々しさはなく、すっきり爽やかな乗り味に仕上げた。これは新プラットフォームを採用した近年のスズキ車全般に共通するフィーリングでもある。

 余談だが、静岡には県内限定で展開する「さわやか」というハンバーグレストランがある。肉汁たっぷりだけど、名前はさわやか。静岡県民にこよなく愛されている。スイフトに乗ると“さわやか“というキーワードが地域色の強いスズキのDNAとして刷り込まれているのではないか、と思うくらい爽快な乗り味を満喫できる。さらに軽量化はNVH(騒音・振動・ハーシュネス)にもマイナス方向に働くが、現行スイフトでは補強や吸音材などを最適配置することで、先代以上にうまく抑制している。

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