インダストリー4.0の動きの中でオークマが目指すもの:スマートファクトリー(1/2 ページ)
「日本ものづくりワールド2017」の特別講演に工作機械メーカー、オークマ 社長の花木義麿氏が登壇。IoTを活用した工場の最新事例を紹介しながら、オークマが考えるスマートファクトリーと今後のモノづくりの展望について語った。
モノづくりの専門展「日本ものづくりワールド2017」(2017年6月21〜23日、東京ビッグサイト)の特別講演に工作機械メーカー、オークマ 代表取締役社長の花木義麿氏が登壇。IoTを活用した工場の最新事例を紹介しながら、オークマが考えるスマートファクトリーと新工場を中心とした今後のモノづくりの展望について語った。
オークマが目指す新たなモノづくりの形
オークマは1891年に創業した切削型工作機械の総合メーカー。企業旋盤、マシニングセンタ、複合加工機をはじめとしたNC工作機械、NC装置、FA製品などの製造・販売・サービスなどの事業を展開している。2016年度の売上高は1627億円で営業利益156億円、3400人の従業員が勤務している。
同社は工作機械とNC装置を自社開発する数少ない企業の1つである。機械技術、電気技術、情報技術を融合した「機電情知」により、1963年に世界初の絶対位置方式NC装置を開発。1972年にはコンピュータ式NC装置を自社開発し世界で初めて実用化するなど工作機械の知能化レベルを上げることに取り組んできた。また、トータルレスポンシビリティ(総合一貫責任)を強みとして、要素技術から機械、システムまで手掛けている。
世界の工作機械市場は21世紀に入り拡大し、2015年の生産高(切削型)は532億ドルに達した。国別では、日本の112億ドルに対し、中国が130億ドル、ドイツが88億ドル、韓国が35億ドル、台湾が33億ドルだという。新興市場などの伸びも顕著になってきているが、付加価値機種の生産においては、依然として日本のシェアが高いという。
オークマでは、ユーザーからの高い要求に対応するため、超多品種少量生産における最適生産を追求している。現在同社では約300の機種を生産し、使用している部品は約16万種類にも上る。一方で工作機械の月産台数は約600台にとどまっており「膨大な品種を少量だけ生産するという構造に苦労しているのが現状だ」と花木氏は述べる。
こうした中、オークマでは、個別生産の要求に応えながら、大量生産と同等の品質を低コストで実現できる「マスカスタマイゼーション」を目指していく方針である。「工作機械市場における多品種少量生産に対応し競争力を維持していくため、スマートマニュファクチャリング化を進め、マスカスタマイゼーションに向けた取り組みを継続している」(花木氏)。
マスカスタマイゼーションの実現に向けて、自社内で高度な自動化、無人化、知能化による生産性の向上を図り、生産工程の制御性能の向上(制御周期を短縮)や全体最適などの取り組みを推進する。さらにその実現に向けて「サイバーフィジカルシステム(CPS)」の高度化を最重要視する。そして、成功要因(キーファクター)として、「スマート化(カイゼンからナレッジマネジメント、そしてAIを用いて対処する)」「サービスビジネスモデル(モノづくりだけでは成長が難しい)」「オープンプラットホーム(データベースなどをオープンプラットホームで構築)」の3つを挙げている。
こうした取り組みを体現しているのが自社工場である「Dream Site2」である。
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