30分間で小学生にどう教える? コミュニケーションロボットのプログラミング:組み込み開発ニュース
子ども向けの職業体験施設「キッザニア東京」(江東区豊洲)では、コミュニケーションロボットのプログラミング体験がスタートする。ロボットが携帯電話機の販売店で接客する場面を想定。プログラミングツールはNTTドコモが独自に開発したもので、タブレット端末上で50種類のブロックの中から必要なものを組み合わせるだけで完了する。
子ども向けの職業体験施設「キッザニア東京」(江東区豊洲)では、2017年7月7日からコミュニケーションロボットのプログラミング体験がスタートする。コミュニケーションロボットが携帯電話機の販売店で接客するのを想定し、ロボットの発言内容や動作をプログラミングする内容となっている。
NTTドコモがスポンサーとなり「ロボット研究開発センター」というパビリオンで体験学習を実施する。キッザニアはメキシコのKZMが19カ国24カ所に展開する施設だが、ロボットのプログラミング体験ができるのは韓国のみで、コミュニケーションロボットを対象とするのはグローバルで見ても新しい取り組みだという。
文部科学省は2020年度をめどにプログラミングを小学校の必修科目として取り入れようと議論を進めており、キッザニア東京とNTTドコモが提供する体験学習はこれを先取りしたものだという。
「プログラミング教育」はプログラムを書かせることではない
文部科学省が力を入れるプログラミング教育は、プログラミング言語を用いた記述方法(コーディング)を覚えさせることではない。
コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるという体験を通して、「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、1つ1つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」(文部科学省)を身につけさせる教育が必要だと考えている。
NTTドコモのロボット研究開発センターでもコーディングは度外視している。子どもが使うプログラミングツールはNTTドコモが独自に開発したもので、タブレット端末上で50種類のブロックの中から必要なものを組み合わせるだけで完了する。
ロボットに接客させるには
コミュニケーションロボットのプログラミングは「スタート」「ゴール」のブロックの間にブロックを1列もしくは並列に配置して行う。例えば来店した客にあいさつさせる場合は「人が近くにいる(状況)」「『こんにちは』と言う(発言)」「手を振る(動作)」というブロックを並べる。
このようなプログラミングにより、来店のあいさつから機種の提案、購入する機種の確認までロボットが人間とコミュニケーションを取れるようにする。ブロックの配置や設定する内容は「開発指示書」として子どもたちに配布される。体験時間は35分だ。
携帯電話機で重視する機能を尋ねる場合には「機能を選ぶ」というブロックの次に「写真がきれい」「テレビが見れる」「通信が高速」といった選択肢を並列で置く。これにより、コミュニケーションロボットは「どのような機能をお探しですか? 1番、写真がきれい。2番、テレビが見れる。3番、通信が高速。欲しいものを番号で選んでください」と発話できるようになる。
来店客の回答に合わせてコミュニケーションロボットをしゃべらせるため、「写真がきれい」という選択肢のブロックの次に「『写真がきれいなものが欲しいんですね』と言う」と返答する発言内容を指示するブロックを配置する。ブロックは動作や発言以外にも、「10秒間待つ」といった指示もある。
体験学習は、ブロックの並びの通りにコミュニケーションロボットが動いたかどうか確認して終了となる。参加した子どもたちは「その通りに動いてすごかった」「(もっと自由にプログラムできるとしたら)ドラえもんをつくりたい」と感想を述べた。
プログラミングにはNTTドコモの対話型AI(人工知能)技術「自然対話エンジン」を使っており、「ホワイト」と「白」のような同じ意味の異なる表現を理解する。分岐したシナリオに沿って対話するのも自然対話エンジンの機能の一部。
体験学習は、参加する子どもに合わせて難易度を分けてあり、ある程度プログラミングされた状態に少数のブロックをあてはめるだけで完了するものから、細かくカスタマイズできる自由度の高いものまで用意している。
体験学習の中では、AIそのものについてなど専門的な内容については触れない。「コミュニケーションロボットが話す裏側で自然対話エンジンが動いていることを知ってもらい、そこからAIに関心を持ってもらえれば」(NTTドコモ)。また、コミュニケーションの在り方を考えるきっかけにしていくことも狙いだ。
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