ARで保守を効率化、プログラマブル表示器でスマートデバイスと連携:製造業IoT(1/2 ページ)
シュナイダーエレクトリックは、産業向け事業への取り組みを発表。新たにプログラマブル表示器を活用したARソリューションを展開し、保全作業の効率化と人為的ミスの削減を提案する。
フランスのSchneider Electricの日本法人であるシュナイダーエレクトリックは2017年7月4日、産業向け事業への取り組みを発表。従来のプログラマブル表示器をベースとし、新たに拡張現実(AR)対応ソリューション「EcoStruxure Augmented Operator Advisor(略称:シュナイダーARアドバイザー)」を展開することを発表した。
産業IoTで事業拡充を狙うシュナイダーエレクトリック
Schneider Electricは、日本ではデータセンター向けソリューションで有名だが、グローバルではBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)などを含めたビル向けのソリューションや、プロセスオートメーションなど制御機器の売上高の大半を占める企業である。そのため、1997年からインターネットを利用しIPベースで機器から情報を取得するIoTのコンセプトに近い製品群を展開。現在では全投入製品の45%がインターネットに接続できるというIoT先進企業である。
シュナイダーエレクトリックでは従来国内では単品製品では競合関係が厳しくそれほど展開してこなかったが「IoTやスマートファクトリーの動きが活発化し、従来は競争が厳しかった製品ベースの戦いから、ソリューションベースの戦いに移り、勝負できる環境が整ってきた。産業向け製品群も国内で本格展開していく」とシュナイダーエレクトリック インダストリー事業部 バイスプレジデントの勝村友一氏は述べる。
さらに、買収や資本提携なども通じポートフォリオの拡充が進んできたことなども追い風となっている。産業向けでは、Invensys Process Systemsのプロセス監視制御ソフト「Wonderware」などがある他、プログラマブル表示器で高いシェアを持つデジタルなども一体となって展開する。勝村氏は「シュナイダーエレクトリックとしてのIoTと(デジタルのブランドである)Pro-faceによる現場サイドの状況を組み合わせられるところを強みとして展開していく」と強みを語る。
ARで保守効率化と人為ミス削減を実現
シュナイダーエレクトリックが新たに展開するシュナイダーARアドバイザーは、タブレットに映し出されたリアルタイムの映像やデータと仮想オブジェクトを、設備や機器に重ね合わせて映し出せるようにしたものである。
例えば、それぞれの機器ごとにARのトリガーとなる画像や2次元バーコードを設定。現場でタブレットをかざしカメラの撮影映像に表示されたアイコンをタップするだけで、ユーザーマニュアルや指示書、図面などの数多くのデータを迅速に入手し、作業支援を受けられる。これらにより、保全作業の効率化を実現できる他、人為的ミスを大幅に低減できるとしている。さらに、設備を停止して点検が必要だった電気キャビネットなどの扉を仮想的に開けて内部を確認できるため、設備停止時間を削減することなども実現できるという。
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