精度と使いやすさを高めたマシンビジョン、スマホ連携も可能に:産業用画像技術(1/2 ページ)
コグネックスは、精度や使いやすさを高めたマシンビジョンのラインアップを拡充し、スマート工場実現に向けたソリューションを展開する。
画像計測処理装置の専業メーカーであるコグネックスは2017年6月19日、新たに投入した新製品群を紹介すると共に、同社の取り組みを発表した。
工場の自動化を実現する重要な技術の1つであるマシンビジョンシステムの需要は、製造ラインの自動化や省人化の進展により拡大してきた。製品の生産効率向上や厳格な品質管理に対する要求が高まる中、マシンビジョンシステムにもスピードや高精度である点に加え、柔軟さや組み込みの容易さなどが求められている。コグネックスでは新たな製品群で高精度や使いやすさを高めてこれらのニーズに応える方針である。
スマートフォンと連携するビジョンシステム
ビジョン関係の新製品では、マルチスマートカメラビジョンシステムの「In-Sight VC200」(以下、VC200)シリーズと、スタンドアロンビジョンシステムの「In-Sight 7000」(以下、7000)シリーズを発売している。
「VC200」シリーズは最大4台のスマートカメラを1台のコントローラーに取り付けて簡単にマルチカメラの検査ができるビジョンシステム。初めて複数のスマートカメラと分散型の処理能力を高性能アプリケーション用に活用できるようになった。また、PatMax RedlineやOCRMaxなどのビジョンツールを利用可能とする。グラフィカルアプリケーションのフローワークにより、トリガーと画像取り込みを柔軟に制御することが可能。管理可能なツールブロックに検査を分割することにより、アプリケーションをシンプルにし、まとめた結果をPLCに通信する。
プラットフォームに依存しないHMIテクノロジーを採用しており、特別なハードウェアを設置したり専用のソフトウェアをインストールしたりすることなくWebブラウザを使用してネットワーク上の任意のデバイスで監視し、制御することが可能。「スマホやタブレットからも検査結果を見ることができる他、複数のユーザーが同時に接続することができる」(同社)と可視性を高めている。自動車部品、電子部品、ディスプレイ関連分野での展開に注力する方針で「多面的検査とコード読み取りなどの同時並行処理ができることで検査時間の短縮になる点などを特徴として訴えていく」(同社)と意欲をみせる。
速度と精度を高めたフラグシップマシンビジョン
「7000」シリーズは、従来機よりもパフォーマンス、柔軟性、導入のしやすさなどを向上した。「ハード面では、ビジョンに最適なデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を採用したことで、処理速度が速くなった」(同社)。また、PatMaxRedLine、SurfaceFX、OCRMaxなどの充実したビジョンツールも特徴となっている。このうち今回新しく搭載したSurfaceFXは、微小な表面欠陥(チップ、くぼみ、しわ、刺し傷、水滴)や、コントラスト(刻印、エンボス、型打ち、エッヂ、突起)を際立てたり、光ノイズ(周囲光、グレア)を取り除いたりすることに有効だ。
さらに照明、レンズ、フィルターなどを400通りもの構成から自由に選ぶことができ、アプリケーションの要件に合わせて柔軟にカスタマイズできる。コンパクト設計によりスペースの狭い生産ラインにも簡単に設置可能。同社では7000シリーズを「フラグシップモデルとして当社の中心となる製品」と位置付け、販売拡大に力を注ぐ。
この他、使いやすさを追求した計測センサー「In-Sight Laser Profiler」の販売を開始した。同製品は部品の寸法が仕様を満たしているかを検査する測定システム。3次元レーザ変位テクノロジーにより、高さ、ギャップ、位置、角度を正確に計測。「今まで2次元での濃淡画像では難しかった部品の検査が簡単になる」(同社)という。
自動車業界向けでは、この特徴を生かして、ブレーキパッド検査やクラッチプレートの厚み検査、溶接の継ぎ目検査、エアバッグ収納カバーのギャップ測定などでの使用を想定する。その他、電子部品業界ではコンポーネントの装着検査やハウジング寸法検査、SIMトレイ平面度検査など、食品関係ではラインでの取り分け検査、注入キャップ検査などに用いられることを想定している。
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