2030年には約1兆円、国内の車載ソフトウェア市場:車載ソフトウェア
矢野経済研究所がまとめた車載ソフトウェアの市場調査によると、国内市場の規模は、車両1台当たりのソフトウェアの容量が拡大することにより、2030年に9950億円に拡大する。
矢野経済研究所は2017年6月19日、車載ソフトウェアの市場調査の結果を発表した。国内市場の規模は、車両1台当たりのソフトウェアの容量が拡大することにより、2030年に9950億円に拡大する見通しだ。このうち、車載ソフトウェアの標準規格であるAUTOSAR関連の市場規模は2050億円まで成長し、市場全体の20.6%を占めるという。
市場規模は事業者の売上高を基にしている。2016年の車載ソフトウェアの国内市場は前年比38.3%増の5250億円で、AUTOSAR関連は前年比85.5%増の115億円だった。ソフトウェアのコード行数が増える影響により、2020年の車載ソフトウェア全体の国内市場規模は7475億円を見込んでいる。また、自動車メーカーやティア1サプライヤーが開発コストを縮小するため、AUTOSARの導入を推進することからAUTOSAR関連では事業者の売上高が415億円まで増加する。
AUTOSARによって、車載システムの基盤ソフトウェア(BSW:Basic Software)やミドルウェアは非競争領域となるが、アプリケーション開発では激しい開発競争が行われるという。
また、将来的にAUTOSARは、パワートレインやシャシー向けの「AUTOSAR Classic Platform」と、先進運転支援システム(ADAS)やHMI(ヒューマンマシンインタフェース)に向けた「AUTOSAR Adaptive Platform」に分かれていく。AUTOSAR Adaptive Platformは自動運転システムにも対応していくとみられる。
ADASやHMI、自動運転システムに向けた車載ソフトウェアの標準化プラットフォームは、Googleの「Android Auto」など競合となりうる存在もあり、現時点では断定できないという。
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