車載Linux「AGL」の本格採用を始めるトヨタ、特許リスクも見据える:Automotive Linux Summit 2017レポート(2/3 ページ)
Automotive Grade Linux(AGL)の開発者向けイベント「Automotive Linux Summit 2017」の基調講演に、トヨタ自動車の村田賢一氏が登壇。トヨタ自動車におけるAGL関連の開発活動や、AGLの初採用車両となる新型「カムリ」との関係について語った。また、今後の採用拡大時に課題になる特許リスクについても指摘した。
AGLの初採用は「カムリ」じゃなくて「プリウスPHV」だった!?
AGLの活動において、トヨタ自動車が深く貢献していることは周知の事実だ。AGLを初めて採用するのが、新型カムリの車載情報機器であることはその証拠だろう。村田氏は、トヨタ自動車の車載情報機器開発とAGLの活動の関係性について、さらに一歩踏み込んで説明した。
実は、新型カムリの前に、AGLの活動と深い関係を持った車載情報機器を搭載する車両が発売されているのだ。それは、2017年2月発売の新型「プリウスPHV」だ。プリウスPHVの車載情報機器は、ダッシュボード中央に配置した、11.6インチサイズの縦型タッチパネルが印象的だ。2013年から始まったこの車載情報機器の開発には、Tizen IVIを参照プラットフォームとしたAGLの活動成果が反映されている。ティア1サプライヤーはデンソー、プロセッサはインテル製である。
これと並行して開発が進んでいたのが、新型カムリの車載情報機器になる。ティア1サプライヤーはパナソニック、プロセッサはルネサス エレクトロニクス製だ。AGL UCBの基礎となる要件仕様書バージョン1.0の策定には、両車両の車載情報機器の開発からのフィードバックが大きな役割を果たしている。ただし、AGLの初採用が新型プリウスPHVではなく新型カムリなのは「要件仕様書バージョン1.0を完全に満足しているのは、新型カムリからになる」(村田氏)ためだ。
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