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「カロセリ」「シート表皮張り替え」、インドネシアの個性豊かな出展社新興国自動車事情(6)(3/4 ページ)

およそ2億6000万人というASEAN地域最大の人口を持ち、同時に地域最大の自動車市場を抱えるインドネシア。とはいえ自動車産業の集積という点ではタイにまだまだ及ばず、国を挙げての産業育成を目指しているところです。モーターショーではそうした意気込みと、大衆の「クルマへの憧れ」とあいまった熱気を感じることができました。

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商用車コーナーで存在感を示す「カロセリ」

 前述したようにGIIASには商用車も展示され、こちらも乗用車と同様に日系自動車メーカーの4ブランドが中心的な存在となっています。しかしもう1つ、インドネシア特有の出展社があります。それは「カロセリ」と呼ばれるボディー架装業者です。

 インドネシアには、日野自動車やScania(スカニア)のシャシーを使い、独自の観光バスや路線バスを作るカロセリが幾つも存在しています。そのなかでLAKSANA(ラクサナ)やADIPUTRO(アディプトロ)といった大手は、モーターショーでも大きなブースを展開します。

ラクサナが開発した、トランスジャカルタ向けBRT車両の最新モデル。スカニアのシャシーを使用している。路線バスながら床が高いのは、市内のBRT停留所では日本の鉄道のように高いプラットフォームを採用しているため。客室内もユニバーサルデザインに配慮したものになっている(クリックして拡大)

 ラクサナの新型路線バスは極めて洗練された、モダンなスタイルが魅力です。また車内も、使いやすさがよく考えられていました。話を聞いてみると、R&D能力の蓄積と洗練に力を注ぎ、人間工学的な視点で工業デザインを行っているのが強みだとのこと。これは逆に言えば他社の場合、使い勝手が重視される路線バスであっても、まだまだ職人の経験や勘に頼っている部分が多いということなのかもしれません。

こちらはラクサナの中型観光バス。シャシーは日野自動車製。ラクサナに限らず、カロセリの多くはシャシーメーカーのエンブレムを配したデザインを採用する(左)。アディプトロは豪華な内装の大型長距離バスをメインに展示。2階建てにも見えるが、床面を高い位置にした「スーパーハイデッカー」と呼ばれるタイプ(右)(クリックして拡大)

 観光バスは、全体的にゴージャスな内装が好まれるようです。ちなみにこうした大型バスで、日野自動車以外の日系ブランドが使われることはまずありません。その理由はカロセリが腕をふるえるような、シンプルかつ質実剛健なシャシーを持っていないから。いくらビジネスがグローバル化しても、好まれる製品の基準が地域によって異なることは変わらないという一例です。

二輪ブランドは脇役だが個性派が光る

 当然のことながら、GIIASには2輪ブランドも出展しています。ただしインドネシアに生産拠点を持つ大手ブランドはモーターサイクルショーに注力していることもあり、非常に小さなブース展開となっています。

ロイヤルエンフィールドは、本国インドで発売されたばかりの「ヒマラヤン」をアピール。サイドカーの「ウラル」は現地の販売代理店による出展(クリックして拡大)

 その代わりにインドのロイヤルエンフィールドやロシアのウラルといった、長い伝統を持つブランドの現地法人や輸入元が精力的にアピールしていました。また日本の電動モーターサイクルメーカー、テラモーターズも出展。一方で大手ブランドのブースが小さかったのは、会場のICEの展示面積がさほど広くないことも影響しているかもしれません。

テラモーターズは、インドネシアでは事業を立ち上げたばかりで、販売と同時に体制の構築も進めてゆくとのこと
テラモーターズは、インドネシアでは事業を立ち上げたばかりで、販売と同時に体制の構築も進めてゆくとのこと(クリックして拡大)

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