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「解析と実測のコリレーション」で自動車用コネクターの開発期間が3分の1にCAE事例(1/2 ページ)

コネクター大手のヒロセ電機は、研究開発拠点の横浜センターに新たに「EMC試験室」を導入。EMC試験室と解析技術の組み合わせによって、自動車向けコネクターの開発期間を従来比で3分の1程度に短縮し、製品投入を加速させていく考えだ。

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 コネクター大手のヒロセ電機は2017年4月27日、研究開発拠点の横浜センター(横浜市都筑区)に導入した「EMC試験室」を報道陣に公開した。EMC試験室の導入により、自動車向けコネクターの開発期間を従来比で3分の1程度に短縮し、製品投入を加速させていく。

 現在同社のコネクターは、スマートフォンを中心にコンシューマー製品向けが約6割を占め、自動車向けは約2割にとどまる。この約2割についても、車載情報機器の関連で用いられる同軸系のコネクターが多かった。2012年ごろからはECU(電子制御ユニット)向けや電動システム向けなどの製品開発にも注力しており、製品ラインアップの拡充によって自動車向けコネクターの売り上げを伸ばしていく計画である。今後は、自動車向けをコンシューマー製品向けや産業機器向けに並ぶ3本柱に育てていきたい考えだ。

シールドルームと電波暗室から成るEMC試験室

 EMC試験室は、シールドルームと電波暗室の2つから構成されている。シールドルームでは、設計したコネクターに外来ノイズを加えても正常に動作するかを確認するイミュニティ試験を行う。このため、シールドルームの内部で発生させる外来ノイズが外部に漏出しないように“シールド”された部屋になっているのだ。

シールドルームの内部シールドルームの内部 シールドルームの内部。広さは奥行き5.0×幅6.0×高さ3.6m(クリックで拡大)

 シールドルームで行う代表的な試験は2種類ある。1つは、BCI(Bulk Current Injection)試験だ。10M〜最大2.5GHzの外来ノイズをワイヤハーネスの周囲で発生させて、コネクターへの影響が顧客の要求レベル以下に抑えられることを確認する。もう1つは、耐誘導ノイズ試験/バースト試験になる。一定以上の長さのワイヤハーネスから発生する外来ノイズによって、コネクターの動作に影響が出ないかを確認したりする。

BCI試験の設備耐誘導ノイズ試験/バースト試験の設備 BCI試験の設備(左)と耐誘導ノイズ試験/バースト試験の設備(右)。耐誘導ノイズ試験/バースト試験の設備の奥側にあるオレンジ色のワイヤハーネスは長さが10mになる(クリックで拡大)

 一方、電波暗室は、設計したコネクターや、コネクターと接続したワイヤハーネス、ECUなどが放射するノイズを計測するエミッション試験を行うための施設だ。このため、外部からのノイズが電波暗室の内部に侵入しないような構造となっている。

電波暗室の内部電波暗室の内部 電波暗室の内部。広さは奥行き8.0×幅6.0×高さ3.6m(クリックで拡大)

 電波暗室では、車載機器のノイズのエミッションに関する国際規格であるCISPR25に関わる試験を行う。また、将来的には顧客からの要望があり得るとのことで産業機器のノイズのエミッションに関する国際規格であるCISPR22の確認試験にも対応できるようにした。

CISPR25の試験を行うための設備ノイズのエミッションの測定結果は電波暗室の外で確認 CISPR25の試験を行うための設備(左)。ノイズのエミッションの測定結果は電波暗室の外で確認する(クリックで拡大)

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