減損の呪縛から脱するソニーに一抹の不安
2017年4月28日、ソニーが2016年度の決算と2017年度の業績見通しを発表しました。3カ年中期経営計画の最終年度となる2017年度は、売上高8兆円、営業利益5000億円など、2016年度を大きく上回る目標を立てました(関連記事:ソニーのエレキ事業が19年ぶりに第4四半期黒字を確保、中計目標は達成できるか)。
特に営業利益については2016年度の1.7倍で、過去最高を記録した1997年度の5257億円に次ぐ数字になっています。為替影響や事業リスクとしてあらかじめ織り込んでいる損失が結果として小さければ、十分に過去最高を狙えるといったところです。
ソニー 代表執行役副社長 兼 CFOの吉田憲一郎氏は「中期経営計画の目標達成に向けてさまざまな施策を進めてきた。これらの目標数字は十分達成できるだろう」と述べています。この2017年度の業績見通しを出せるようにするまで、ソニーはさまざまな施策を打ってきました。その多くが「減損」として実施されています。
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