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ソニーのエレキ事業が19年ぶりに第4四半期黒字を確保、中計目標は達成できるか:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
ソニーは、2016年度(2017年3月期)決算と2017年度の業績見通しを説明。3カ年の中期経営計画の最終年度となる2017年度の連結業績は、売上高が前年度比5.2%増の8兆円、営業利益が同73.2%増の5000億円、税引前利益が同86.8%増の4700億円、当期純利益が同3.4倍の2550億円、ROE(株主資本利益率)は10%以上を見込む。
イメージセンサー復活で半導体分野の営業利益は1200億円に
2017年度の業績見通しのうち、売上高8兆円よりも達成が難しそうなのが営業利益5000億円だ。映画分野で2016年度に計上した減損の影響がなくなることは織り込み済みだが、これに加えて半導体分野の大幅な業績拡大が必要になる。2017年度の半導体分野の業績見込みは、売上高が前年度比13.8%増の8800億円、営業利益は同1278億円増の1200億円となっている。
2017年度のセグメント別業績見通し。なおコンポーネント分野は、中核のリチウムイオン電池事業を2017年7月に村田製作所に売却することが決まっているため、その他分野に組み入れられた。このため2017年度からは“エレクトロニクス5分野”となる(クリックで拡大) 出典:ソニー
吉田氏は、半導体分野の業績見込みについて「イメージセンサーを中国メーカーに拡販するとともに、スマートフォンの背面カメラのデュアル化、自撮りに使う前面カメラの高機能化が追い風になっている。AV、監視カメラなども一定の需要増を見込んでいる。それに加えて、熊本地震の費用やカメラモジュール事業の減損もなくなる。十分に達成可能だと考えている」と説明する。
なお、MC分野、映画分野、リチウムイオン電池事業の売却など、吉田氏がCFOに就任した3年半で約5000億円もののれんの減損を計上したという。「現時点ではさらなる減損のリスクはないと考えている。G&NSと音楽は大きめののれんを抱えているが、事業を継続していくことで十分回収できるはずだ」(吉田氏)としている。
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