マシンビジョンのアプリとコンポーネント:いまさら聞けないマシンビジョン入門(2)(3/4 ページ)
製造現場のプロセス自動化や品質向上に役立つマシンビジョンの基礎知識をお伝えする本連載。第2回はマシンビジョンのアプリとコンポーネントについて紹介する。
マシンビジョンのコンポーネント
マシンビジョンシステムの主なコンポーネントには、照明、レンズ、画像センサー、画像処理、通信などが含まれる(図8)。
照明は検査対象のパーツを照らして、特徴を際立たせ、カメラからはっきりと見えるようにするもの。レンズは画像を取り込み、光の形でセンサーに提供する。マシンビジョンカメラ内のセンサーは、この光をデジタル画像に変換する。その後、この画像はプロセッサに送られ、分析される。
ビジョン処理は、画像の分析と要求された情報の抽出、必要な検査の実行および意思決定を行うアルゴリズムで構成される。通信は通常、ディスクリート入出力信号か、情報を記録しているデバイスにシリアル接続経由で送信されるかで行われる。
照明モジュール、センサー、プロセッサなど、マシンビジョンのハードウェアコンポーネントの大半は、商用オフザシェルフ(COTS)機器を使用できる。マシンビジョンシステムはCOTSを使って構成するか、または1つのデバイスに全てのコンポーネントが入った統合システムを購入するかを選択できる。
照明
マシンビジョンで良い効果を得るために重要なのが照明である。マシンビジョンシステムは、対象物自体を分析するのではなく、対象物が反射した光を分析することにより、画像を作成する。照明方法には、パーツとカメラに対する光源とその配置が関係する。照明方法を工夫することで、対象物の特徴を目立たなくし、別の特徴を引き立てて、画像を強調することなどが可能となる。例えば、パーツの輪郭だけを見せ、表面細部が分からないようにすると、エッジを測定しやすくなる。
バックライト照明
バックライト照明は、外側またはエッジの計測だけを必要とするアプリケーションで、対象物の輪郭を際立たせる。これにより、形状が検出しやすくなり、寸法の計測の信頼性が高まる。
同軸拡散照明
同軸拡散照明は、側面から光路に向かって(同軸上に)光を結合し、側面から照らされた半透明の鏡が、下にあるパーツに向かって光を当てる照明。パーツが反射した光は半透明の鏡を透過してカメラに戻る。この結果、極めて均一に光の当たった、均質な見た目の画像を作成できる。
構造化照明
構造化照明は、既知の角度で対象物に向かって照明パターン(フラット、グリッド、または複雑な形状)を投影する。コントラストの影響を受けない表面の検査や寸法情報の取得、体積量の計算に便利である。
暗視野照明
表面の欠陥を際立たせる指向性照明には、暗視野照明と明視野照明の2種類がある。暗視野照明は、一般に、コントラストの低いケースで用いられる。カメラから離れた場所に設置された照明が浅い角度で対象物を照らし、その拡散光をカメラが受光する。
明視野照明
明視野照明は、コントラストの高いケースに向く。ただし、高圧ナトリウムランプや石英ハロゲンランプなど光源の指向性が強い場合には、影が鮮明になることが多くなるため、視野全体にむらなく照明を当てられない。光沢のある表面や反射面上のホットスポットや鏡面反射では、明視野に均一な照明を提供するために、より拡散した光源が必要になる。
拡散ドーム照明
拡散ドーム照明は、対象となる特徴に最も均一な照明を当てることができる。検査の対象外でシーンの背景ノイズとなる異常を目立たなくすることもできる。
ストロボ照明
ストロボ照明は、移動中の対象物を静止させて検査する必要のある高速アプリケーションに使用される。ピンぼけの予防にも、ストロボ照明が役立つ。
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