工場のデジタル化を実現する最後のピース、IO-Linkの日本コミュニティーが設立:FAニュース(2/2 ページ)
工場内のデジタル化を進める上で、制御コントローラーとセンサー/アクチュエータの間はアナログ通信のままだった。そのデジタル化を可能にする「IO-Link」の国内普及を目指す「IO-Linkコミュニティ ジャパン」が設立された。オムロンなどの幹事会社6社とメンバー14社の20社が参加する。
オムロン「日本国内でのIO-Linkの市場を拡大していきたい」
IO-Linkは、産業用ネットワーク規格の1つであるPROFIBUS/PROFINETを推進するプロフィバス協会(PI:PROFIBUS&PROFINET International)が2005年に策定した産業用デジタル通信技術だ。制御コントローラー側のIO-Linkマスターと、センサー/アクチュエータ側のIO-Linkデバイスを、3線の一般的なコネクターとケーブルにより1対1で結ぶもので、産業用ネットワーク規格ではない。また、プロフィバス協会が策定しているものの、PROFINETだけでなくさまざまな産業用ネットワーク規格とのつながることが大きな特徴となっている。
この“つながり”の広さもあって、プロフィバス協会がIO-Linkの技術を管理するものの、プロフィバス協会とは異なる「IO-Linkコミュニティ」という名称で普及が進められている。参加社数は145社にのぼり、これには20社の日本企業も含まれる。そして3770種類のIO-Link機器が販売されている。
欧州で展開するIO-Linkコミュニティの日本版という位置付けで、IO-Linkコミュニティ ジャパンは発足した。事務局機能は日本プロフィバス協会が提供するものの、PROFIBUS/PROFINETの普及活動と一線を画するため、独自ドメインのWebサイトも公開した。
今後は、早稲田大学 理工学研究所によるIO-Link体験コースの他、2017年8月に東京と大阪で開催される「産業オープンネット展2017」や、同年11月開催の「システムコントロールフェア2017」などに出展し、普及活動を進めていく。
幹事会社のオムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 コントローラ事業部 事業計画部長の松本英俊氏は「当社はシステムコントロールフェア2015でIO-Linkの採用を、2016年9月に搭載製品を発表した。今後は、さまざまな産業用ネットワーク規格とつながるIO-Linkのメリットをより多くの方に知ってもらい、日本国内でのIO-Linkの市場を拡大していきたい。そのためにもIO-Linkコミュニティ ジャパンの活動は重要だ」と強調する。
IO-Link体験コースを定期開催する早稲田大学の理工学術院 教授で理工学研究所 副所長とIONL代表を務める天野嘉春氏は「早稲田大学の理工学研究所は、1940年の設立当初から自動制御を研究テーマの1つとしてきた。IONLはオートメーション技術のデジタル化を推進する、ベンダー中立な教育・デモサイトであり、IO-Linkは研究テーマにふさわしいと考えている」と述べている。
「IO-Link体験コース」でも使用するIO-Linkのデモ展示。左上にあるオムロンのPLCと、その下にあるIO-Linkマスターがつながっており、このIO-Linkマスターから左下にあるIO-LinkデバイスのSICKのセンサーにつながっている。中央にあるIO-Linkデバイスのバルーフの照明は、右側にあるノートPCとつながっており、ノートPCからそのまま初期設定を行うことが可能だ(クリックで拡大)
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