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「産業自動化とビルオートメーションに注力」、デルタ電子が新分野へ事業拡大TECHNO-FRONTIER 2017

デルタ電子は、パワーエレクトロニクス分野に加え、オートメーションおよびインフラストラクチャを加えた3つの領域で事業拡大を図る方針だ。「TECHNO-FRONTIER 2017」では、これらの主力商品を事業分野別に披露し、来場者に充実した製品群をアピールした。

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 デルタ電子は、世界的に実績のあるパワーエレクトロニクス分野に加え、オートメーションおよびインフラストラクチャを加えた3つの領域で事業拡大を図る方針だ。2017年5月に組織変更を行い、体制を固める予定で、日本でもこの戦略に沿ってオートモーティブ/民生/産業向け各種電源などとともに、産業自動化/ビルオートメーション、ICTインフラ/エネルギーインフラなどの分野の市場開拓に取り組む。同年4月19〜21日に幕張メッセで開催された民生機器、産業機器の要素技術の展示会「TECHNO-FRONTIER 2017」でも、これらの主力商品を事業分野別に披露し、来場者に充実した製品群をアピールした。

デルタ電子の郭珊珊氏
デルタ電子の郭珊珊氏

 デルタ電子はグローバル市場でスイッチング電源、ブラシレスDCファン、パワーチョーク抵抗、テレコム向け電源などの製品で高いシェアを残してきた。これまでは、これらの製品をパワーエレクトロニクス、エネルギーマネジメント、スマートグリーンビルのカテゴリー分けしてきたが、近年の事業環境の変化や社内の事業部の顧客、市場、コア技術、事業戦略などの共通性を踏まえて組織を再編し、製品の開発やソリューション展開を進めていく。デルタ電子・台湾本社でCBO(Chief Brand Officer)を務める郭珊珊氏は「これまで当社はパワーエレクトロニクスの分野で市場に貢献してきたが、今後は、オートメーションおよびインフラストラクチャを加えた3つのカテゴリーに力を注ぐ。オートメーションの分野では特に産業自動化、ビルディングオートメーションを軸に展開する」と方針を述べた。

 デルタ電子グループの2016年度の売上高は前年比3%増の77.8億米ドル(約8500億円)を記録。売上高に占める日本市場の構成比は約1割で、電気自動車(EV)向けの電装品や充電器、オートメーション機器、太陽光発電システムや蓄電システムなどのエネルギー関連製品を中心に事業を進めている。今後、エネルギー/インフラ向け事業は太陽光発電パワーコンディショナ、家庭用蓄電装置、リチウムイオン電池およびモジュール、EV充電器、高効率熱管理製品、携帯基地局用システム、さらにスマートグリッド通信装置やビルオートメーションシステムを加えて「創・蓄・省・管」をキーワードにした製品群の提供に力を注ぐ計画だ。

 このうち管(管理)については、2016年4月にデルタグループに加わったオーストリアのビルオートメーション開発企業・ロイテック(LOYTEC)の製品を扱うことで「よりトータルなソリューションを提供できるようになる」(デルタ電子 マーケティング課マネジャーの坂口友英氏)と意気込む。ロイテックは1999年にウィーン工科大学からスピンアウトし創立され、従業員は約70人。その半分が製品開発に従事しているという。坂口氏は「同社の製品は国際的な多様なビルオートメーションのプロトコルに対応するなどアーキテクチャのオープン性に優れており、資産をそのまま使いながら新しい省エネビルを実現できるソリューションをもっている」とその特徴を紹介している。

 今回のTECHNO-FRONTIER 2017では、こうした新たな戦略に沿って「オープン化・標準化」をテーマに、産業化自動化ソリューション、ビルディングオートメーション、パワーシステムソリューション、そしてライブデモゾーンの4つのコーナーに分けて主力製品/新製品を展示した。

 このうち、ライブデモゾーンではオープンフィールドネットワーク「EtherCAT」を採用したACサーボを32台並べコントローラー1つで稼働させる同期制御デモを実施。また、スカラロボットについてもデモを行った。このスカラロボットは、対象物搬送時に止まらずに画像を撮影する機能などを搭載し、ロボットコントローラーにドライブを内蔵しワンユニットで構築できるなどの特徴をもつ。既に海外市場では販売を開始しており、日本国内でも2017年度内に発売できるように準備を進めているという。

スカラロボットのデモンストレーションACサーボドライブシステム 「TECHNO-FRONTIER 2017」でのデルタ電子の展示。スカラロボットのデモンストレーション(左)とACサーボドライブシステム(右)(クリックで拡大)

 産業自動化ゾーンでは、ACインバータやACサーボドライブシステム「ASDA A2-E」、制御盤などに簡単に設置できるDINレールマウント型「CliQシリーズ」、組み込み用途のオープンフレーム型「PJシリーズ」、LEDドライバ電源「LNEシリーズ」、医療機器用電源「MD/MEシリーズ」などの同社の主力製品である標準電源シリーズを一堂に披露した。

 熱対策ゾーンは熱管理デバイスの最新製品のECファン「GTシリーズ」26製品を展示。同製品は交流電源(単相/3相)で駆動する大型ファンで、高効率、高風量が特徴。主にセントラルインバータやデータセンター、トンネルなどに用いられている。

 スマートビルディング/インフラゾーンでは、2016年に同社が兵庫県赤穂市に建設した分散型太陽光発電システムを採用した4MWのメガソーラー「デルタ電子 赤穂エナジーパーク」の現状を紹介した。2016年の年間発電量は約550万kWhに達しており、「発電量は当初のシミュレーションよりも5%多かった。分散型のメリットがあったようだ」(坂口氏)と順調な立ち上がりを見せている。また、同発電所にはリチウムイオン蓄電装置を設置しており、関西電力との系統連系の実現に向けても現在調整中。「FIT枠組みの太陽光発電所に蓄電池を設けて、系統連系するというケースは日本ではあまり例がない。その意味でも同発電所を実証実験の場としても活用していく」(坂口氏)とする。

 この他、EVチャージャー(充電器)では6kWの高容量出力の家庭用EV/PHEV(プラグインハイブリッド車)用ACチャージャーと壁掛け式EV用DCチャージャーの出力容量25kWモデルを出品した。

さまざまなEVチャージャーも展示
さまざまなEVチャージャーも展示(クリックで拡大)

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