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IoT時代に求められる「データ志向文化」、必要なのは三位一体製造マネジメント インタビュー(1/2 ページ)

IoTの進展による本質的な価値を生むのは、得られたデータをどう活用するかという点に尽きる。しかし、製造業においては「データ活用」をどのように進めていけばよいのだろうか。BIツールベンダーであるクリックテックのアジア・パシフィック地域 製造・ハイテク担当事業開発ディレクターのジェレミー・シム氏に話を聞いた。

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 IoT(モノのインターネット)を通じたビジネスモデルの変革である第4次産業革命に大きな注目が集まっている。製造業では、センサーなどでデータを取得することに大きな注目が集まっているが、本質的な価値を生み出すには「集めたデータをどう活用するか」という点が最も重要になる。「日本ではロボティクスやセンサー領域では世界的に進んでいるのに、データ分析領域では少し遅れている」と指摘する、米国Qlikのアジアパシフィック地域、製造業・ハイテク担当事業開発ディレクターのジェレミー・シム(Jeremy Sim)氏に話を聞いた。

データを取り巻く3つの大きな変化

MONOist 従来も製造業はデータを活用して改善活動などに取り組んできたと思います。過去と現在でデータ活用において何が異なっていると考えますか。

シム氏 データを取り巻く環境は、従来と最近とでは3つの大きな違いがあると考えている。1つ目が「データ量の巨大化」である。モバイル活用の進展でビッグデータに注目が集まったことに加えて、IoTでモノからも膨大なデータが取得できるようになった。さらに、データそのものもリッチになりさまざまな情報が得られるようになった。従来はデータ活用といえば社内のデータばかりだったが、外部の豊富な情報と組み合わせることで、さまざまな知見が得られる可能性が生まれた。

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米国Qlikのアジアパシフィック地域、製造業・ハイテク担当事業開発ディレクターのジェレミー・シム(Jeremy Sim)氏

シム氏 2つ目がデータの管理、処理を行うためのコンピューティングパワーの進化だ。より多くのデータを管理、処理できるようになり、多くのデータを簡単に扱えるようになった。

 3つ目がユーザーの考え方の変化だ。過去はデータを活用するといっても、状況をまとめた「レポート」をたくさん集めるという状況で、そこから先の「分析」にはなかなかつながっていなかった。そのため必ずしも集めたデータが価値を生み出しているとはいえない状況があった。しかし、ユーザー側が集めたデータから価値を見いだそうとする志向に変わってきた。そのためデータからより多くの「分析」を引き出そうとする取り組みが進んでいる。

 組織的にも、「レポート」を集めるだけであればデータを単純に処理するだけであるのでIT部門が中心となっていた。しかし、それを分析し知見を引き出すということになるとIT部門だけでは難しい。そのため、事業部門のユーザーがデータを活用できるような新しい組織や新しい仕組み、新しいツールなどが求められる流れになってきている。日本においてもデータ活用に対するオープンな動きが出てきている。

MONOist 世界的に見て、日本のデータ活用の動きをどう見ていますか。

シム氏 ロボティクスやセンサー領域では日本はドイツなどよりも進んでいるが、ビジネスアナリティクス(BA)の活用で考えると日本はドイツや韓国などと比べても遅れている。製造業においてはロボットなどを活用したオートメーション化が進んでおり、先進技術を生かす能力はトップクラスだと思うが、BAについてはスローな状況が続いている。ただ、ここ1、2年で変化してきており、今後活用が加速していくと見ている。

 データを活用するには単純にツールを入れるだけでは難しい。全社的に「データ志向文化」などのようなモノが生まれなければ成果が出る形にはならない。ユーザー側が自由に活用できる組織的な仕組みや、マネジメントレベルの取り組みが海外との違いといえるかもしれない。

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