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タダでソフト開発の生産性と品質を上げる方法(3):意外に使えるフリーツール「PictMaster」を使いこなす山浦恒央の“くみこみ”な話(93)(3/3 ページ)

「タダでソフト開発の生産性と品質を上げる方法」の第3回。今回は、前回紹介した無料の組合せテスト自動生成ツール「PictMaster」を使いこなす応用編だ。

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2.2 制約表の使い分け

 PictMasterの環境設定画面の左上に、「制約表を使用」というチェックボックスが見えるはずです。PictMasterでは、テスト生成時に制約(組み合わせに含めない項目)を除外してテスト項目を生成できます。例えば、焼き肉の食べ放題のメニューを見ると、通常とは異なり、高級霜降り肉は注文出来ないようになっています。その場合、ツール上で高級肉に制約を付けることで、高級霜降り肉を組み合わせから除外できます。

 組み合わせ表を作る場合、どうにもテストできない項目が必ず現れます。PictMasterでは、「制約表」にその旨を記述すると、その項目を除外したテスト項目を生成できます。図4図5を見てください。

図4
図4 ブラウザの組み合わせ例(クリックで拡大)
図5
図5 生成例(生成時のパラメータは、Pairwise法、組み合わせるパラメータ:2、デフォルトのシードで生成、生成エンジン:PICT)(クリックで拡大)

 図4は、PCのインストール可能なブラウザの組み合わせ例です。図5は、図4からPairwise法で生成した組み合わせ例です。図5の、「OS」と「ブラウザ」の列に注目すると、No.10の「WINDOWS」に「Safari」が含まれているのが分かるでしょう。

 また、「MAC」には「IE」を含んでいます。通常、SafariはMAC用で、IEはWINDOWSだけにしかインストール出来ないためテストできません。その場合、PictMasterでは、図6のように制約表を作成します。

図6
図6 制約表の例(クリックで拡大)

 図1で示した環境設定画面で「制約表を使用」にチェックを付けます。チェックを入れると、図6の画面中央下に「制約表」のセルが現れます。制約にしたいものを白以外のセルで塗りつぶします。今回はIEとSafariを黄色にし、組み合わせから除外することとしました。実際に生成すると、図7のようになります。

図7
図7 生成例(左図:制約表無しの生成例、右図:制約付きの生成例)(Pairwise法、組み合わせるパラメータ:2、デフォルトのシードで生成、生成エンジン:PICT)(クリックで拡大)

 両者を比較すると以下が分かります。

  1. 制約表があると、WINDOWSにSafariを含まない
  2. 制約表があると、MACにIEを含まない

 このように、制約表を設定すると、テストできないパラメータは除外してテスト項目を生成してくれます。

3.終わりに

 組み合わせテストを手作業で実施すると、多数の組み合わせを考えねばならず。ミスの原因になります。「莫大な数の単純作業」は、人間ではなく、機械にお任せです。より楽に実施するためには、PictMasterの使い方を熟知していると便利です。さらに詳細なツールの使い方は、ダウンロードした際についてくるユーザマニュアルに書いてあります。

 今回は、少し高度なツール活用法を説明しました。本記事を参考にして、楽に短時間でテストをしてください。

参考文献

[1]「ソフトウェアテストの教科書」(石原一宏他、2012年、ソフトバンククリエイティブ)

[2]「ソフトウェアテスト技法ドリル テスト設計の考え方と実際」(秋山浩一、2010年、日科技連出版社)

[3]「はじめて学ぶソフトウェアのテスト技法」(リー・コープランド、2005年、日経BP社)


【 筆者紹介 】
山浦 恒央(やまうら つねお)

東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士)


1977年、日立ソフトウェアエンジニアリングに入社、2006年より、東海大学情報理工学部ソフトウェア開発工学科助教授、2007年より、同大学大学院組込み技術研究科准教授、2016年より非常勤講師。

主な著書・訳書は、「Advances in Computers」 (Academic Press社、共著)、「ピープルウエア 第2版」「ソフトウェアテスト技法」「実践的プログラムテスト入門」「デスマーチ 第2版」「ソフトウエア開発プロフェッショナル」(以上、日経BP社、共訳)、「ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ」「初めて学ぶソフトウエアメトリクス」(以上、日経BP社、翻訳)。


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