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超高速/低消費電力で高精度の物体判別が可能なシステムを開発:人工知能ニュース
ディープインサイトとトプスシステムズは、超高速かつ低消費電力で物体判別が可能なシステムを開発した。新世代プロセッサ「SMYLEdeep」と組み込み型のディープラーニングフレームワーク「KAIBER」を用いることで、物体判別率93%を達成した。
ディープインサイトとトプスシステムズは2017年2月13日、ディープラーニングを用いて超高速かつ低消費電力で物体判別が可能なシステムを開発したと発表した。トプスシステムズの新世代プロセッサ「SMYLEdeep」と、ディープインサイトが開発した組み込み型ディープラーニングフレームワーク「KAIBER」を用いている。
SMYLEdeepは、従来型プロセッサの20分の1以下である75MHzの動作で、フルHD入力画像に対する移動物体の検出/判定を100fps(フレーム毎秒)で実行できる。1つの物体を判別する時間は2ミリ秒未満で、500mWの低消費電力を可能にしている。
KAIBERは、エッジコンピューティングおよびIoT(モノのインターネット)向けに開発された国産初の組み込み型ディープラーニングフレームワーク。今回、SMYLEdeepに最適化されたKAIBERのディープニューラルネットワークを使用することで、物体判別率93%以上を達成した。
自動運転やロボットで使用するカメラには、リアルタイムで精度の高い画像認識処理が必要となる。しかし、高精度の認識処理を実行させると計算量が膨大になり同時に消費電力が上がるため、冷却が困難で夏季には高温となる車載システムやモバイル機器では、精度の高さと低消費電力の両立が求められていた。
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