AR表示がずれない世界初の車載ヘッドアップディスプレイ、コニカミノルタが開発:VRニュース(1/2 ページ)
コニカミノルタは「世界初」(同社)の車載用「3D AR HUD(3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ)」を開発した。ドライバーの視点を動かしても、周辺の車両や歩行者などに重ね合わせたAR(拡張現実)表示がずれないことを特徴とする。2018〜2019年を目標に商品化を進める。
コニカミノルタは2017年1月13日、東京サイト八王子(東京都八王子市)において会見を開き、「世界初」(同社)の車載用「3D AR HUD(3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ)」を開発したと発表した。2018〜2019年を目標に商品化を進めるとともに、自動車メーカーなどへの提案も行う。
自動車のドライバーが前方から視線をそらすことなく、メーターやカーナビゲーションシステムなどの情報を知らせるための車載システムとしてヘッドアップディスプレイ(HUD)の採用が拡大している。フロントガラスもしくはコンバイナー上に表示映像が数m(3〜5m)先あるように見せることで、ドライバーが表示映像の情報を認識する際に焦点を合わせ直さずに済むこともメリットになっている。
HUDの進化版としてティア1サプライヤーが開発を進めているのが「AR HUD」だ。単純に走行速度や路線案内の指示を表示するだけでなく、周辺の車両や歩行者、信号、標識、車線などにAR(拡張現実)を重ね合わせることで、ドライバーに周辺状況を認識しやすくして、安全運転を支援する。
コニカミノルタ 光学事業本部 事業本部長付 インダストリー・ソリューション事業推進部長の山田範秀氏は「一般的なAR HUDは、映像の表示位置が数m先で固定されているので、ドライバーが頭を動かして視点の位置がずれると、AR表示が重ね合わせの対象からずれてしまう。当社が開発した3D AR HUDは、映像の表示位置を数m〜数十mなど可変させられるので、AR表示の重ね合わせはずれない。AR HUDを実用化する上で本命技術になると自負している」と語る。
ベースになっているのは、2016年4月から東京大学の石川・渡辺研究室と共同研究を開始した高速に3D虚像投影を行う技術だ。同研究室は、勝率100%の「じゃんけんロボット」を開発するなど、高速画像処理や画像投影、焦点可変についての高い技術を有している。今回は、コニカミノルタの光学、センシング技術を融合することで、従来にない表示システムの開発につなげることができた。
会見で披露した3D AR HUDは、DLP(Digital Light Processing)素子を使った光学系や、車両前方の状況を認識するステレオカメラなどから構成されている。ただし、光学系やステレオカメラは購入品であり、顧客の要望に合わせて変更できるとしている。また、ステレオカメラについても「運転支援システムで用いているカメラから情報がもらえるのであれば、それを使うこともできる」(コニカミノルタの説明員)という。
コア技術は高速に3D虚像投影を行う技術になるが、具体的な内容については「商品化するまで詳細は明らかにできない」(山田氏)としている。
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