トヨタの国内販売はオープンイノベーションで“ReBORN”できるのか:イノベーションのレシピ(1/2 ページ)
トヨタ自動車がオープンイノベーションプログラム「TOYOTA NEXT」を開始する。5つの募集テーマに沿う新たなサービスの提案を、トヨタ自動車以外の企業や研究機関、個人などから募り、選考を経た上で、オープンイノベーションで求められる“共創”の視点に立って共同で開発を行う。
トヨタ自動車は2016年12月7日、東京都内で会見を開き、オープンイノベーションプログラム「TOYOTA NEXT(トヨタNEXT)」を開始すると発表した。5つの募集テーマに沿う新たなサービスの提案をトヨタ自動車以外の企業や研究機関、個人などから募り、選考を経た上で、オープンイノベーションで求められる“共創”の視点に立って共同で開発を行う。
募集テーマは「全ての人の移動の不安を払拭する安全・安心サービス」「もっと快適で楽しい移動を提供するクルマの利用促進サービス」「オーナーのロイヤリティーを高める愛車化サービス」「トヨタの保有するデータを活用したONE to ONEサービス」「全国のトヨタ販売店を通じて提供するディーラーサービス」の5つ。ただし「いずれにも当てはまらない革新的なサービスも応募可能」としている。
現時点で選考終了後のパートナー社数や投資額の規模は明らかにしてないが「5つのテーマ全てでサービスを始めたい」(トヨタ自動車 デジタルマーケティング部 部長の浦出高史氏)という。
応募資格は「ビジネス利用が見込める革新的な技術やソリューション、サービスの開発を行っている技術者や研究開発者などの個人、および大学や企業などの団体」となっており、ほぼ制限はない。日本語での応対ができれば、年齢も問わないとしている。
ただし応募条件については、
- トヨタとの協業やシナジーが見込めること
- TOYOTAネクスト選考中および選考後に、トヨタとの共創に向けた取り組みの実現に向けてリソースを割けること
- 中長期的にトヨタとの資本提携や業務提携などの提携を前向きに検討できること
- 提出する資料関係やプレゼンテーションなどは日本語を使用すること
- 事業内容が公序良俗に反していないこと
となっている。中でも「トヨタとの協業やシナジーが見込めること」「提出する資料関係やプレゼンテーションなどは日本語を使用すること」は制約条件と言えなくもない。
トヨタNEXTでは、トヨタ自動車から「ビッグデータ」「タッチポイント」「製品/サービス」という3つの「アセット」を提供できるとしている。ビッグデータはコネクテッドカーから取得可能な情報で、タッチポイントは全国約5200店のディーラーネットワーク、同約1200店のトヨタレンタリース、トヨタ自動車のWebサイト、メールマガジン、LINEアカウントなどのオウンドメディアだ。
製品/サービスは、スマートフォンで鍵の開閉などができる「スマートキーボックス」、法人向け車両運行管理サービス「トランスログ」、パーソナルモビリティ「i-ROAD」、」、カーナビゲーションシステムなどを利用した通信サービス「T-Connect」、スマートフォンホを利用したカーナビゲーションサービス「TCスマホナビアプリ」などだ。
募集期間は2016年12月7日〜2017年2月20日。同年2月下旬に書類審査、3月中に1次選考、4〜6月に2次選考、7月中旬に最終選考を行い、7月下旬にはトヨタ NEXTに参画するパートナー企業を決定する。8月以降に開発を始め、できるだけ早期にサービスを開始したい考えだ。
選考メンバーは、トヨタ自動車 専務役員の友山茂樹氏、同社常務役員の佐藤康彦氏と村上秀一氏、Inamoto&Co. 共同設立者 クリエイティブディレクターのレイ・イナモト氏、デジタルガレージ 執行役員SVPの佐々木智也氏などを予定している。
2016年8月以降に開始するサービス開発では、トヨタ自動車がサービス開発にかかる費用を(全額または一部)負担し、得られた成果物(知的財産・技術・ノウハウ)はトヨタNEXTに参画するパートナー企業とトヨタ自動車の双方に帰属する。ただし、トヨタ自動車が費用を全額負担する場合、パートナー企業の知的財産・技術・ノウハウを利用する場合、トヨタ自動車がパートナー企業に出資する場合は、別途個別に協議を行うとしている。
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