対歩行者自動ブレーキの評価試験結果、最高得点はマツダの「アクセラ」:安全システム(2/2 ページ)
国土交通省は、対歩行者の自動ブレーキを対象とした評価試験の結果を発表した。これまで、対車両の自動ブレーキ評価は行われてきたが、対歩行者は国内で初めて実施した。評価対象は自動車メーカー5社の11モデルで、対歩行者自動ブレーキ評価の最高得点はマツダの「アクセラ」だった。
評価対象モデルは自動車メーカーの自薦
評価対象となった11モデルは、国土交通省が選定したのではなく、自動車メーカーの自薦だ。「対歩行者自動ブレーキを含めた予防安全性能評価を実施することについては、前々から自動車メーカーに告知してきた。また、実際にクルマが走る場面に即した評価となるよう、日本自動車工業会とも連携してきた。今回の評価に挑んだモデルは、一定の性能を有すると自動車メーカーが自信を持っていたのではないか」(国土交通省)。
予防安全性能評価は2014年にスタートした。2016年から追加された対歩行者自動ブレーキを含む以下の4項目に関して試験を行う。
- 対歩行者自動ブレーキ
- 対車両自動ブレーキ
- 時速60km以上で走行中の車線逸脱警報
- 後方視界情報(車両後方に装着したカメラで障害物がどの範囲まで見えるかを評価)
対歩行者自動ブレーキの評価は、車両が直進する経路にダミー人形1体を時速5kmで横断させる形で行う。ダミー人形は大人と子どものサイズを使用し、ブレーキ操作を行わなければ車両正面の中心で衝突するタイミングで横断する。
横断する場所については、停止したクルマの陰から出てくる条件と、見通しがよく早い段階でダミー人形を検知可能な条件の2パターンを設定している。クルマの陰から出てくる場合は、時速25〜45kmの範囲で時速5km刻みで車両を走らせて試験を行う。また、見通しが良い場合は、時速10〜60kmの範囲で同じく時速5km刻みで評価対象の車両が走行する。
こうした試験内容で評価するのは、自動ブレーキによって停止して衝突を回避したかどうかだけではない。衝突の危険性を音などで警告したか、車両が減速したかどうかについても加点対象となる。
対歩行者自動ブレーキを重視した自動車アセスメントを行う背景には、交通事故死者数の多くの割合を歩行者が占めるからだ。2015年の統計では、交通事故死者数4117人のうち、歩行者は1534人で全体の37%だった。自転車乗車中は572人で14%、自動車乗車中は1322人で32%を占める。
過去10年で自動車乗車中の死者数は大きく減少してきたが、歩行中の死者数は減少幅が小さくなっている。海外の先進国と比較しても日本は歩行中の死者数が多く、自動車アセスメントの結果を参考に、消費者により安全性の高いクルマを購入してもらう狙いがある。
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