スズキのフルハイブリッドは、性能よりも小型軽量化とコスト低減が優先:エコカー技術(1/2 ページ)
スズキは、小型ハイトワゴンの「ソリオ」「ソリオ バンディット」に新開発のフルハイブリッドシステムを搭載して発売した。システムは小型軽量化とコスト低減を図った。ソリオの広い室内空間を犠牲にせず、車両重量の増加も抑えた。
スズキは2016年11月29日、小型ハイトワゴンの「ソリオ」「ソリオ バンディット」に新開発のフルハイブリッドシステムを搭載して発売したと発表した。
システムは小型軽量化とコスト低減に重点を置き、ソリオが特徴とする広い室内空間を維持した。車両重量も990kgに抑えている。JC08モード燃費は32.0km/l(リットル)で、マイルドハイブリッド(S-エネチャージ)搭載モデルの燃費値27.8km/lから4.2km/l改善している。
車両販売価格は、S-エネチャージ搭載モデルに22万円上乗せして191万7000円から。月販目標はソリオとソリオ バンディットのシリーズ全体で3500台。
スズキが独自開発したフルハイブリッドシステム
ソリオのフルハイブリッドシステムはパラレル方式だ。「ISG(モーター機能付き発電機)」と12Vのリチウムイオンバッテリーを搭載するS-エネチャージに、5速の自動マニュアル変速機(AMT)「オートギヤシフト(AGS)」、駆動用モーター兼発電機のモータージェネレーターユニット(MGU)、インバーターと100Vの駆動用リチウムイオンバッテリーを一体化したパワーパックを追加した構成となっている。排気量1.2lのデュアルジェットエンジンを組み合わせる。
MGUは、クリープ走行、加速時のアシスト、EV走行で駆動力を発揮する。EV走行は、時速60km以下でアクセル操作が一定のまま走行している時や、時速45〜60kmでクルーズコントロールを使用している場合に作動する。MGUは、巡航中や減速時には発電して駆動用バッテリーに充電する。
MGUは、MTベースでシングルクラッチのAGSに特有の変速ショックを抑える役割もある。クラッチが切り離されて駆動力が伝わらない間、モーターで駆動力を補い、スムーズに加速するようにした。このため、MGUはエンジンの動力が伝わる入力側ではなく、出力側に配置し、MGUはファイナルギアをチェーンで駆動する。
S-エネチャージは「ISG(モーター機能付き発電機)」が発進後や加速時にエンジンをアシストし、減速エネルギーを回生して12Vのリチウムイオンバッテリーに充電する。この電力を、エンジンの再始動に利用していた。しかし、今回搭載するフルハイブリッドシステムでは、ISGは鉛バッテリーや12Vリチウムイオンバッテリーの充電、エンジンの再始動のみを行い、エンジンのアシストや回生エネルギーの充電は行わない。
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