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地味にスゴイ! プリント基板の実装品質を左右するメタルマスクママさん設計者の「モノづくり放浪記」(6)(8/9 ページ)

ファブレスメーカーのママさん設計者が、機械系モノづくりの“生”現場を渡り歩き、ありとあらゆる加工の世界を分かりやすく解説していく連載。今回紹介するのは高密度実装基板用のメタルマスクの製作を得意とするイトウプリント。部品実装の品質を大きく左右するメタルマスクの製作工程を見ていく。

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 こちらが両面ハーフエッチングの治具のサンプルです。中央の角穴の周囲1mm程度にハーフエッチング加工がなされています。これは板厚200μm(0.2mm)の元板に対し、まず片面を75μm除去し、もう片面を50μm除去。表と裏で異なる高さになっています。


ハーフエッチングの治具のサンプル

 角穴は後工程でレーザー加工していますが、エッチングした位置との狂いもなく、精密できれいな仕上がりです。

 レーザー加工とエッチングによる高精度メタルマスクの製作、そして印刷と、プリント基板製造を下支えしてきた同社では、ここで新たなファイバーレーザー加工機を追加導入しました。取材の時点では搬入が完了したばかりで稼働の様子をうかがうことは出来ませんでしたが、既存の設備とは違った扱いを考えられているとのことで、メタルマスク専用機特有のハイスペックさを生かして、別分野への製品供給を促進する狙いがありそうです。そのヒントになりそうな加工サンプルを見せていただきました。

 これは既存のステンシルレーザーを使い、80μm(0.08mm)のSUS304の板に穴を開けた「メッシュ」です。

「メッシュ」

 穴径70μm(φ0.07)穴ピッチ300μm(0.3mm)、穴数が5万7000。よほど接近しないと穴が開いているとは見えない代物で、メッシュ状であることを写真に収めるために何度も撮りなおしたほどです。既存の設備でここまでの加工ができてしまうのですから、ここで導入された新しい設備と同社の取り組みに期待が高まります。

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