段ボールの設計も3次元化が進んでるんですって!:ママさん設計者の「モノづくり放浪記」(5)(8/9 ページ)
ファブレスメーカーのママさん設計者が、機械系モノづくりの“生”現場を渡り歩き、ありとあらゆる加工の世界を分かりやすく解説していく連載。今回紹介するのは、梱包製品や紙器を製造する中信紙工だ。同社は段ボールを使ったユニークな製品も販売している。
切断の次は接着でしたね。ここから先は自動的に別の機械にバトンタッチされます。それがこの「グルアー」と呼ばれるのり付け専用機です。この機械ではのり付けから最終工程まで行います。
筋の入ったローラーに接着剤を含ませて、下の送りローラーとの間を通ってきた材料にのり付けをします。
のり付け後は自動的に折りたたまれて排出され、ここでのりが乾ききらないうちに箱の耳をそろえて、接着のズレを矯正したら出来上がりです。
こちらは冒頭でお見せした抜き型を使って材料を打ち抜くプレス機です。
動画で紹介されたものより新しい機種で、能力は350トンです。これとは別に550トンのプレス機も備わっており、これは強化段ボールやプラダン(プラスチック段ボール)の打ち抜きに使われています。
この機械は、抜き型を上に取り付け、当て板を下から押し上げてプレスする仕組みです。
紙器の打ち抜きはおおむねこのスタイルで加工されます。同じプレス機械でも板金プレスとは別物ですね。
これが投入前の材料です。
印刷のみ先に紹介した印刷機で行い、後工程をこのプレス機で行います。これが抜き型を用いた量産品の、一般的な製造工程となります。
のり付けの要らない、一枚板を折り曲げて箱にするタイプの製品は、これで完成となります。
段ボールは、使用済み段ボールをリサイクルして製作されます。製造中に発生した抜きカスももれなくリサイクルに回され、新しい段ボール板に生まれ変わるのです。
こちらは、「ボトムロックグルアー」。たたんだときに底板が折り込まれるタイプの箱にのり付けをする機械です。
この機械は2枚の段ボールを継ぐ機械で「2ピースステッチャー」というものです。
比較的重い物を入れて運ぶ箱には、のり付けではなく金属を使った接合で強化します。
これまで深く考えることなく調達し使ってきた段ボール箱ですが、材料の厚さ薄さだけでなく、運ぶものに応じて作り方まで違うことを知り、とても勉強になりました。
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