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人口12億人で新車市場は中国の7分の1、これからマイカー普及が進むインド新興国自動車事情(4)(1/5 ページ)

約12億9000万人という、中国に次ぐ国内総人口を抱えるインド。ときに亜大陸とも呼ばれる広大な国土もあいまって、いずれ世界で最も人口の多い国となるのは確実です。今後はさらなる経済成長も見込まれるとあって、2016年2月に開催された首都デリーのモーターショー「第13回オートエクスポ」には、世界中のメーカーが出展。会場は熱気に包まれていました。

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マイカーに手が届くようになったインド国民が殺到するモーターショー

 デリーモーターショーは、東京モーターショーと同じく隔年開催。開幕を待ちわびた観衆が殺到するというのが、ここ数回の印象です。首都 デリーの名こそ冠されていますが、実はショーの会場はデリー市内ではありません。デリー市の南東にあるグレーターノイダと呼ばれる地域の見本市会場が舞台で、デリー中心部からは30km以上も離れた場所にあります。

 第11回(2012年)まではデリー市内で開催されていました。しかし他の新興国のモーターショーと同様に、広い展示面積と近代的な設備を求めて移転を決定。新たにグレーターノイダの見本市会場が会場となったわけです。

12 展示はいくつかのホールに分かれ、ホールとホールの間は中庭のような雰囲気。敷地にはまだ余裕があり、今後モーターショーの規模がさらに拡大しても問題はなさそう(クリックして拡大)
34 一般公開日の様子。通路は人で埋め尽くされ、ブースにロープを張って入場制限するメーカーも。パンフレットやノベルティグッズなどを配るカウンターでは、誰かが何かを受け取っていると「何かもらえるらしいぞ!」と人が押し寄せてくる(クリックして拡大)

 新しい会場へのアクセスは、容易ではありません。デリー市内から公共交通で向かおうとすると、タクシーを1時間以上走らせるか、あるいは地下鉄で最寄り駅まで行き、そこから臨時シャトルバスに乗るかしかないのです。最寄り駅といっても、会場まではまだ20kmほど離れています。一般公開日には大量の低床路線バスがシャトルに利用され、乗客を満載して高速道路を飛ばすことになります。

56 シャトルバスはモーターショー会場と、周辺のいくつかの地域を結ぶ。低床路線バスが高速道路を飛ばすというのは、なかなかスリリングな体験だった。実際に接触事故を起こしてしまったバスも見かけた(クリックして拡大)
78 シャトルバスは30分ほどで地下鉄駅に隣接したバスターミナルに到着。デリー市内へ戻るには、ここからさらに地下鉄で30分ほどかかる(クリックして拡大)

 写真から、いかに会場が熱気に包まれているかを感じていただけると思います。なぜアクセスが悪い場所に観衆が殺到するのか。それは現在の国内自動車市場を見れば、容易に想像することができます。

 インド自動車工業会の統計によれば、2015年度(2015年4月〜2016年3月)の新車販売台数は347万5382台。これは商用車も含む台数です。ちなみにインドよりもわずかに人口が多い中国では、2015年の新車車販売台数は約2460万台なので、347万5000台というのがいかにささやかな規模であるかが分かろうというものです。

 つまりインドは、自動車メーカーにとってはまだまだ潜在的顧客にあふれているフロンティアなのです。インドの大衆から見れば自動車はまだまだ憧れの対象ですが、経済的に豊かになってきたことで手が届く、あるいは届きそうになってきた存在ということになります。だから現実感のある夢を抱いて、モーターショーにやってくるというわけですね。

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