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20年前から取り組む企業が語る「今までのIoT」と「これからのIoT」製造業×IoT キーマンインタビュー(2/3 ページ)

ビル制御などでグローバルでは大きな実績を持つフランスのシュナイダーエレクトリックは約20年前から、現在のIoTに当たる取り組みを進めている。過去の取り組みに対し、現在のIoTは一体どのような点が異なり、どういう価値を新たに生むのだろうか。シュナイダーエレクトリックのエグゼクティブバイスプレジデント IoT&デジタルトランスフォーメーション担当のシェリル・ペルドカット氏に話を聞いた。

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IoTで革新をもたらす5つの技術要素とは

MONOist 具体的に「過去」と「現在」に違いをもたらした技術要素をどう考えますか。

ペルドカット氏 IoTにおける「過去」と「現在」の違いであり、現在でもIoTを実現するための技術要素としては5つがあると考えている。1つ目が「モビリティ」である。スマートフォンなどに代表されるように移動体が常に情報通信を行えるようになる。こうした要素は人がいる環境や機械がいる環境の今の状況を常に把握できるということを指す。従来は空間全体や設備全体などの管理しか行えなかったが、必要な人や必要な場所だけに影響を及ぼすことができる。これにより従来は必要なかったのに使われていた電力や照明や処理能力などを効率化できる。

 2つ目が「クラウド」である。従来はユーザーがハードウェアとしてオンプレミスでデータ基盤を構築する必要があったが、投資や開発期間などが必要で、自由にデータを扱うことが難しかった。しかし、クラウドが発展してきたことで、こうしたハードルが一気に下がった。

 3つ目が「センシング」である。センサーが高機能化、高性能化し、さらに価格も安くなってきたため、さまざまな機器や場所に付けることができ、データを収集できるようになった。

 4つ目が「アナリティクス」である。分析技術やソリューションが安く多岐に登場したため、集めたデータを分析し、新たな知見を生み出すことが簡単になった。BEMSなどエネルギー事業における電力使用量を予測し、最も安くなる電力を購入するようなソリューションなども可能になる。

 そして5つ目が「セキュリティ」である。こうしたデータの収集や分析、フィードバックなどに対し、安全性が確保できていなければ、最適なソリューションは実現できない。これらの5つの技術要素が進化してきたからこそ、IoTによる新たな価値に注目が集まってきたといえる。

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IoTの大きなカギを握る5つの技術要素 出典:シュナイダーエレクトリック

IoTによって実現する3つの価値

MONOist 実際にこうした「新たなIoT」によって、もたらされる価値にはどういうものがあると考えますか。

ペルドカット氏 IoTによって現在もたらされる価値は主に3つであると考えている。1つ目が「資産パフォーマンス管理」である。設備や機械などがどのようなパフォーマンスを行っているのかを常にデータを取得することで把握するというものである。2つ目が「オペレーション効率化」である。エネルギーマネジメントシステムなどが典型で、最適な稼働を予測や分析などを行うことで実現し、効率化を実現するというものである。3つ目は「操作性の向上」である。個々の情報を取得できることで、個々の環境に応じたソリューションが提供できるようになった。

 こうした3つの価値は業種に限ったものではなく、あらゆる産業に価値をもたらすものだ。実際に当社でもさまざまな業種にこうしたソリューションを導入している。

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