大学4年生になっても続けたい、学生フォーミュラでのクルマづくり:車を愛すコンサルタントの学生フォーミュラレポ2016(2)(5/8 ページ)
学生フォーミュラのピットを周ってみると、各校の個性が見えてくる。マシンのコンセプトが異なるのはもちろん、苦労していることや抱えている課題もさまざまだ。取材に快く応えて生き生きと話してくれる、学生たちの笑顔がまぶしい。
エンジンの気筒数を選ぶのも戦略の1つ
関 マシンの特徴を教えてください。
日本工業大学 宮内さん まずはエンジンですね。他チームではほとんど使っていない2気筒です。HONDA CB500F(日本国内では未発売)のエンジンですが、排気量500cc(実際は471cc)というのも珍しいと思います。あとは4輪アウトボードサスペンション、これも他のチームとの違いでしょうか。エンジンやダンパーユニットなどの既製品を除いてはほとんどを自作しています。金属部品は3D CADでモデリングしてCAMを介してマシニングセンターで切削加工、カウルの型はRoland DG社のMDXで削っています。
関 え? MDX? 私、それを作っている会社の製造部長でした(笑)。このエンジンを選んだ理由を教えてください。
宮内さん もともと2気筒にこだわっているのです。他チームの調査をしてみると単気筒エンジンはリタイア率が圧倒的に高いのです。だからそこには手を出しちゃいけないなって。2気筒は燃費もよいのです。前回は燃費でナンバーワンになりました。
関 確かに4気筒エンジンはパワフルだけど、このコースでは持て余す。また、単気筒エンジンはピックアップが良くこのコース向きだけど、熱間始動性が厳しいよね。私もバイク歴が40年を超えますが、2気筒エンジンが一番好きで、先日まで「YAMAHA MT-07」という排気量700ccの2気筒のバイクに乗っていました。低速から高速までスムーズだし。燃費もいいので、排気量600ccだったら学生フォーミュラにもってこいのエンジンだと思っています。
宮内さん 2017年からエンジンの最大排気量のレギュレーションが変わり、700ccになりますよ。
関 え? だったらMT-07エンジンのオンパレードになりそうだなぁ! ところで、今回の成績はどうですか?
宮内さん 動的審査が芳しくありませんでしたが、エンデュランスは昨日のBグループで完走しました。静的審査は成績が良かったので、今は順位発表待ちというところです。
関 それは楽しみですねぇ!
日本工業大学チームは静的審査のコストで3位、プレゼンテーションで6位、動的でも燃費6位、スキッドパッド7位と好成績を収め、総合で12位に入りました。2015年年の9位よりは少し順位を落としましたが、次回にはまたトップ10に入ってくる強豪チームであることに間違いはありません。
公式ブログにコストレポートの写真が載っていたので引用します。年々ページ数が増えているのがよく分かります。大学を運営する立場の方々、学生フォーミュラの活動に履修単位をあげましょうよ……。
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