コンパクトカーに乗ると分かる、欧州自動車メーカーのお国柄:乗って解説(4/5 ページ)
上級セグメントになるほど、自動車メーカーごとの個性が薄れつつある。数え切れない程の装備や快適な乗り心地などを追求する点で方向性が似通っていることと、かけられるコストに余裕があるためだ。しかし、コンパクトカーに乗ってみるとブランドごとの考え方やこだわりが見えてくる。
2気筒エンジンはこのクルマだけ
最後に試乗したのは、イタリアのFIAT(フィアット)の「500C ツインエアラウンジ」。往年の名車2代目フィアット500をモチーフとしたエクステリアとインテリアデザインは、眺めているだけで楽しめる。
ダウンサイジングで3気筒エンジンが珍しくなくなってきた昨今だが、さすがに2気筒はこのクルマだけ。加速中には独特のブルブルっとした振動が伝わってくるが、不思議と不快に思わない。回転上昇は鋭くないがトルクは十分に出ているため、加速感は薄いのにスピードメーターの上昇は意外と速い。
そのメーターもレイアウトや表示が独特だ。イタリア人のデザインセンスと発想の斬新さには本当に恐れ入る。かつてホンダもタコメーターとスピードメーターを同軸配列したが、こんなにはうまくデザインできていなかった。シートの座り心地もやっぱりいい。
トランスミッションからイタリア人の運転の仕方が垣間見える?
その一方で、デュオロジックと呼ばれるAMT(自動マニュアルトランスミッション)のシフト時のトルク切れが相変わらず気になる。スロットルペダルのストロークが大きく、しかも踏み応えがないからシフトに合わせてスロットル開度を調整するのもちょっと難しい。イタリア人は構わず全開と言うことなのだろう。
ブーストが分かっていればトルクはかなりあるので加速力そのものは十分。ステアフィールは切り始めがやや重く、安定感を優先したような特性だ。操舵自体は軽いのだが、やや反力を強めに設定しているようだ。
フットワーク自体は非常に軽快で、運転を実に楽しいものにしてくれる。3500回転あたりから高まっていく独特のビート音はちょっと安っぽい感じもするけれど、クルマが頑張ってくれているのが分かるから、これはこれで面白い。
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