ニュース
画像評価を用いたiPS細胞のリアルタイム品質管理技術を開発:医療技術ニュース
名古屋大学は、iPS細胞などのヒト多能性幹細胞の培養工程で、画像情報を用いて細胞の品質を管理・評価する技術を開発した。培養中の細胞を破壊せず、リアルタイムに品質評価ができる。
名古屋大学は2016年9月26日、iPS細胞などのヒト多能性幹細胞の培養工程で、画像情報を用いて細胞の品質を管理・評価する技術を開発したと発表した。同大学大学院創薬科学研究科の加藤竜司准教授らとニコン マイクロスコープ・ソリューション事業部の共同研究グループによるもので、成果は同日、英科学誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。
研究では、まず、ニコンが開発した細胞自動培養観察装置「BioStationCT」を用いて、良いiPS細胞と悪いiPS細胞を計2300枚撮影した。その中から、iPS細胞のコロニー部分を999個取り出して画像処理し、大きさや形状など120項目を計測して数値データを用いて客観的に分類した。その結果、異常な形をしたコロニーのグループが悪いiPS細胞中に多く見つけられた。
次に、別に培養したiPS細胞のコロニーの形を撮影してグループ分けし、どんな遺伝子を発現しているのかを測定・統計解析したところ、画像解析によるグループ分けと同じ結果となった。同成果により、画像解析によるグループ分けは有効であり、異常な細胞が発生したことを自動で検出できることが分かった。
関連記事
- 自動運転車のソフトウェアをオープンソース化、「研究開発を2年は前倒せる」
ZMPは、名古屋大学が開発した自動運転システム用ソフトウェア「Autoware」を搭載した自動運転車の実験車両を販売する。Autowareは、Linuxなどと同様にオープンソースソフトウェアになっている。 - 「速いマシンは美しい」――エンデュランスで見たこだわりの学生フォーミュラカー
直線、ターン、スラローム……周回路の耐久走行審査「エンデュランス」を走行した学生たちのフォーミュラカーを紹介する。エアロパーツ、エンジン選定やレイアウト、素材などこだわりポイントはそれぞれだ。 - 分子触媒で体内時計のリズムを変える新しい分子を発見
名古屋大学は、分子触媒を用いた最先端合成化学の手法により、哺乳類の体内時計(概日時計)のリズムを変える新しい分子の発見に成功したと発表した。 - 興奮性神経伝達物質をシナプスから浄化する仕組みを解明
名古屋大学は、神経細胞の活動に伴って細胞外に大量に放出されるグルタミン酸を、シナプス周囲のグリア細胞が吸収・浄化する効率を高める仕組みの一端を明らかにした。 - 制御系システムのマルチコア化に対応、TOPPERSがAUTOSAR準拠の車載RTOSを公開へ
制御系車載システムへのマルチコアプロセッサ導入に向けた開発が加速している。この動きを受けて、欧州の車載ソフトウェア標準規格であるAUTOSARに準拠したリアルタイムOS(RTOS)「TOPPERS/ATK2」のマルチコアプロセッサ対応版が、2013年6月からTOPPERSプロジェクトを通じて一般公開される。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.