わずか0.02mmのさじ加減で顧客を満足させるねじ金型が世界を目指す:イノベーションで戦う中小製造業の舞台裏(10)(1/5 ページ)
自社のコア技術やアイデアを活用したイノベーションで、事業刷新や新商品開発などの新たな活路を切り開いた中小製造業を紹介する本連載。今回は、直径2mm以下の小径穴と呼ばれるねじの金型を得意にしている金剛ダイス工業の取り組みを紹介する。
ケータイ、スマホ、PC、テレビ。時計、メガネ、イヤリング。ゲーム機、エアコン、炊飯器。……共通して使われる部品は、なぁ〜んだ?
答えは、「ねじ」。
上記に羅列した製品以外にも、私達の身の周りあらゆるものに組み込まれているにもかかわらず、決して目立つことがないねじ。今回紹介する金剛ダイス工業は、ねじを量産するための金型、ねじ金型を製造している。
モノづくりを支えるねじを生み出す「ねじ金型」
ねじは、私達の身近にある重要なパーツだ。そんなねじがどのように製造されているか考えたことがあるだろうか。
同社4代目社長の廣尾敬雄氏によると、まずねじ金型に針金を入れて、プレス機でたたいて頭部を作る。軸のねじ山は、転造ダイスと呼ばれるねじ溝を切った2枚のねじ金型に挟んで圧力を加えて転がして整形するそうだ。この「鍛造」と呼ばれる製法は、削りカスがでないうえ、たたいて成型するので金属の強度が増す。
ねじは振動が掛かるところに使われるため、小さくとも強度が必要だ。鍛造で作るのは、理にかなった製法といえる。
同社が得意としているのは、直径2mm以下の小径穴と呼ばれるねじ金型や、ねじ頭や軸が丸ではない異型穴のねじ金型だ。「ねじ金型は1点ものです。たとえ図面上の数値が同じであっても、数値に現れない微妙な違いがあります」と敬雄氏は言う。
その数字にならない差異をカタチにすることで、同社は取引先からの信頼を得ている。取引先の多くは、40年以上の取引になるそうだ。
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