「Design」「Make」「Use」が融合する時代、設計者の役割も変わる?:Autodesk University Japan 2016(2/3 ページ)
「Autodesk University Japan 2016」の基調講演に、オートデスク米国本社のスティーブ・ブラム氏が登壇。これまで異なるものとして別々に管理されていた「Design」「Make」「Use」という3つのプロセスが融合しつつあり、その代表的な事例の数々を紹介した。
フォードはVR技術で自動車開発プロセスを革新する
さらにブラム氏は、Ford Motor(フォード)における3つのプロセスの融合に向けた取り組みを紹介した。フォードは、自動車の設計のために作成したCADデータとVR(仮想現実)技術を組み合わせたAR(拡張現実)ラボ「FiVE(Ford’s immersive Vehicle Environment)」の実用化に取り組んでいる。
FiVEのメリットは、設計(Design)中の自動車が実車として完成する以前の段階から、その設計内容を製造(Make)やマーケティング(Use)にどのように反映できるかを実体験できることだ。単なるCADデータではなく、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着して、4K映像による車両デザインを外観から内装まで、立体視によって確認できる。また、世界各地の拠点を結ぶことによって、最適なローカライズなどのグローバル協業も図れるという。
Autodesk University Japan 2016の展示会場でも、製造業向けと建設業向けに2種類のVR体験コーナーを用意。製造業向けでは、フォードのFiVEに採用されたのと同じデザイン支援ソフトウェア「VRED」を、建設業向けは「STINGRAY」を用いていた。
この他、航空機の凍結防止業務を請け負うPremier Deicersにおける、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)を活用した事例も取り上げた。2008年、米国で起こった大寒波により、シカゴのオヘア空港では450便ものフライトがキャンセルする事態に陥った。
凍結防止剤の不足によってこの事態に対応できなかったPremier Deicersは、凍結防止剤のタンクをはじめ、凍結防止業務に関わるさまざまな部品にセンサーを埋め込み、それらのセンサー情報により、凍結防止業務の状況を把握するシステムを作り上げた。センサー情報を集約し、見える化する管理ツールには「Fusion Connect」が採用されている。
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