“言行一致”のIoTソリューションで製造品質を見える化する:製造業×IoT キーマンインタビュー(4/4 ページ)
製造業がIoTの活用を模索する中で、自社のモノづくりにおける実践事例を“製造業向けIoTソリューション”に仕立てて外販する事例が増えている。富士ゼロックスも「SCQM」と名付けた製造品質の見える化ソリューションを自動車業界などに展開中だ。同社執行役員の永岡大治氏に、いち早くSCQMを展開できている背景などについて聞いた。
分断されているITとPracticeを言行一致ソリューションで統合
MONOist 複合機の管理サービスや製造業の見える化といったIoTソリューションを提供する背景にはどのような考え方があるのでしょうか。
永岡氏 当社はソリューションビジネスにおいて「言行一致」を掲げている。自社の改革実績と現場での失敗をも含めたノウハウ、そして最新のITソリューションの活用によって顧客の課題を解決を目指しているからこそ「言行一致」というわけだ。
IoTを含めたITによって、さまざまな情報をデジタル化/見える化することはできる。しかし、各企業の文化や組織風土、仕事のやり方に基づく、非構造化情報、非定型化情報。日々発生する業務活動といった「Practice(実務)」の領域の情報は、業務実態の可視化が困難で、標準化されておらずバラバラのままだ。
当社のソリューションは、ITによるデジタル化で得た情報と、言行一致活動の実践で可視化されたPracticeを統合するのに役立つと確信している。先に挙げたSCQMやEP-BBといったIoTソリューションも、その一環となる。
MONOist 製造業向けIoTソリューションを展開する上で、ドイツのインダストリー4.0や米国のインダストリアルインターネットなどの標準化の動向と無縁ではいられません。
永岡氏 SCQMの標準化インタフェースのことを考慮して、インダストリー4.0、インダストリアルインターネットともその動向を常にチェックしている。ドイツや米国は、共同して標準を作っていく力が強く、その標準を基に、各社がどのように活用するかで競争する。日本は標準化づくりで協力する意識が希薄で、それぞれの会社で工夫を積み重ねて効率化を目指そうとする。
そして、個社の工夫による効率化の取り組みをITとして実装するときに、独自の通信規格を作ってしまったりする。その部分を標準化しているドイツや米国と比べて、トータルとして安くて効率的になるかどうかは、しっかり検討すべきだろう。
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