JC08モード燃費ってどうやって測定するの? カタログ値と実燃費が違う理由は:いまさら聞けないクルマのあの話(1)(3/4 ページ)
聞いたことはあるけれど、正確に知っているかといわれると自信がない……。クルマに関する“いまさら聞けないあの話”を解説していきます。第1回は、三菱自動車が発端となって世間を騒がせたのが記憶に新しい「燃費の話」です。
平等で複雑な燃費測定
シャシーダイナモのローラー抵抗の設定は、こうして算出された走行抵抗値を踏まえて決定されます。
自動車メーカー各社がこれ以上はないといえるほど平等なスタートラインに立った状態で、ようやく定められた走行パターンで走らせて燃費を測定します。
お気付きの方もいらっしゃると思いますが、カタログなどには必ず「国土交通省審査値」と記載されています。これは、走行抵抗値をシャシーダイナモに反映させ、定められた走行パターンを走行する場に国土交通省が立ち会っているということです。
もう少し詳しくいえば、独立行政法人 交通安全環境研究所という場所で審査員立会いの下、燃費計測は実施されています。
時速±2km、1秒単位で速度変更
そしてここからが、皆さんが良く耳にするJC08モード(定められた走行パターン)についてです。
不公平が無くなるように徹底的に考え抜かれて準備された走行条件の中で、自動車メーカー代表の運転手が定められた走行パターンを新型車で走らせます。文章で説明してしまうと訳が分からなくなりますので、まずは以下のグラフをご覧ください。
参考までに、10・15モードのグラフもご覧ください。
グラフでは車速と経過時間しか表現されていませんが、実際は何速のギアを使用するかという項目まで規定されています。
JC08モードを局部的にご紹介しますと、測定開始から26秒後までは時速0km:1速ですが、27秒後に時速4.9km:1速、28秒後に時速9.8km:1速…といった非常に細かな走行パターンが定められています。ちなみに速度の逸脱可能範囲は時速±2km、かつ±1秒以内までとなっています。
この細かい走行パターンは1204秒まで続き、JC08モードでの測定に臨むドライバーは集中力を絶やさずに測定に必要な操作を継続することになります。また、測定にはエンジン水温も大きく影響しますので、仮に測定を失敗すれば条件に合致した水温に低下するまで再測定を待つことになります。
10・15モードとは異なり、JC08モードではコールドスタート(冷機状態)での測定も実施されます。これは、エンジンが完全に冷えている状態から走行を開始するシチュエーションが実際の使われ方で非常に多いことから採用されたものです。
さらに言えば、JC08モードというのは発進/停止が多い都心エリアにおける走り方をしっかりと研究して走行パターンの平均車速は時速24.4kmとなっています。とても賢い方々が熟慮に熟慮を重ねた走行パターンとなっているのです。
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