Willow Garage出身デザイナーに学ぶ、サービスロボットのインタラクションデザイン(後編)(3/5 ページ)
ロボットが一般化するために「人間とどんな関係を築くか」は避けて通れない問題だ。正解はまだ見えないが、Willow Garage出身者が手掛けるロボットを通じて「今後のサービスロボットデザイン」を探ってみたい。
買い物客を怖がらせないSimbe Robotics(Tally)
次はGee氏のSimbe Roboticsが手掛ける、小売店向け在庫確認ロボット「Tally」だ。
Tallyはスーパーやドラッグストアの商品陳列棚を本体側面に搭載されたカメラを使って撮影し、現在は人の手で行われている品物の状態確認をクラウド上にアップロードされた画像の物体認識と文字認識で実現する。これにより、店頭在庫不足による機会損失を防ぎ、また、現在ドラッグストア1店舗で1週間あたり平均30〜40人/時が掛かっているといわれるコストを削減する。
TallyのインタラクションデザインはRelayと類似点が多い。直接スーパーの買い物客にサービス提供を行うわけではないので、買い物客向けの凝ったデザインは施されていないが、Relayと同様、店内の3次元マップと各種センサーを頼りに、人や障害物を避けながら自走する。
本体正面のディスプレイには、センサーの稼働状況を示す2つの「目」が表示されており、可能な限りシンプルに、ロボットの状態を人に提示したとのこと。外形デザインについては、Gee氏のこだわりが見られる。買い物客が「見られている」と感じることが無いように、3次元センサーを外からは見えにくいよう正面ディスプレイ上部のスペースに格納している。
米国の標準的な商品陳列棚は4フィート(約122センチ)だが、それを2つ重ねた高さでも撮影できるよう、Tallyの最大撮影可能な高さは250センチに設定されている。プロトタイプの段階では本体高さが2メートルを超えるロボットとしていたが、人を見下ろすようなロボットは人を怖がらせ、警戒心を芽生えさせてしまうのではという懸念があった。
そのため、現在では高さ約1メートルの本体部分に、スライド式で高さ調整可能な板状の背面部分が取り付けられたようなデザインになり、背面部分の両サイドにカメラが搭載されている。
Simbe Roboticsと同じように店内の棚在庫管理用ロボットを手掛ける企業には、カーネギーメロン大学発スタートアップのBossa Nova Roboticsや、イオンリテールが試験導入したことで知られるCheckpoint Systemsがあるが、Gee氏はそれらのロボットのデザインについて、HRIの理解が足りておらず、客足を遠のけてしまうのではないか、とコメントしていた。
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