Willow Garage出身デザイナーに学ぶ、サービスロボットのインタラクションデザイン(前編)(3/4 ページ)
サービスロボットの機能による差別化が難しくなれば、次に浮上するのが人とロボットがどんな「関係性」を持てるかというインタラクションデザインだ。前編では、人とロボットの関係性「Human-Robot Interaction(HRI)」の重要性と、これまでの研究を振り返る。
ロボットのインタラクションデザイン、HRIの研究
ロボット工学三原則が発端となり、ロボットのインタラクションデザインについて研究する分野がHRIだ。HRIは人と一緒に、または、人によって使われるロボットシステムの理解、設計、評価に関する研究分野であり、インタラクション、すなわちロボットと人の関り合いを通じたより自然な意思疎通を実現することがゴールだ。
学際的な分野であり、工学(電気電子、機械、工業、設計)、コンピュータサイエンス(ヒューマンコンピュータインタラクション、人工知能、ロボティクス、自然言語処理、コンピュータビジョン)、社会科学(心理学、認知科学、コミュニケーション、人類学、ヒューマンファクター)、人文科学(倫理、哲学)といったさまざまな分野からなる研究者、実践家によって探求が進められている。なお、HRIの学会は1992年に「IEEE International Symposium on Robot & Human Interactive Communication (RoMan)」として、日本で始まったといわれている。
ロボットが工場の柵の中から柵の外、もしくは人が日常生活を行う空間に活動の領域を拡大するに従い、また、ロボットの知能が発達するにつれて、社会的・文化的に正しいインタラクションが求められるようになった。また、ロボットの専門家でなくとも扱えるよう、より簡単にコミュニケーションが取れるようなスピーチ、ジェスチャー、表情などの研究も進められている。
ソーシャルロボットの研究で著名なHertfordshire大学 教授のKerstin Dautenhahn氏は“social rules for robot behaviour (a ‘robotiquette’) that is comfortable and acceptable to humans”として“robotiquette”という言葉を定義し、ロボットは人の要求・命令表現のやり方に適応していくべきだと述べている。そして、そのためには「人が住む複雑な環境を理解し、人の意図や感情を理解していくことが必要だ」としている。
また、Dautenhahn氏はロボットに求められるソーシャルスキルの評価のために、以下の様な評価項目を示し、ロボットの置かれた環境や役割、人との関わり合いに応じた社会性を持たせることを提唱している。
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