検索
連載

町工場は暗い汚い? 金属って美しい! 金型工場発のメタルアートのミュージアムを作ろうzenmono通信(6/7 ページ)

モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回はフジタ 代表取締役 梶川貴子氏が、金型工場発の新ビジネスのアイデアや取り組みについて話す。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

enmono そういうものが求められている中で、今までは捨てられていたような金属の削りカスですとか、あるいは工場のものっていうのは(芸術的な面で)評価されていなかったと思うんですが、それをあえてファクトリーアートという形で取り出すことで、ここにミュージアムを作って日本中からたくさんの人に来ていただく形になると、もしかしたら1年後ここに観光バスが停まって、たくさんのお客さんも入ってきて、もしかしたらその中に観光客なんだけど、いつもはメーカーで働いているエンジニアの方とかいらっしゃったりして、「なんかこの技術すごいね」と、それがまた本業の方にもつながっていく、というような流れができるといいと思います。

梶川 自分は作れないんだけど案はあるとか。例えばスキャナっていうのはプラスチックでも紙粘土でも普通の土の粘土でも木でも何でもいいので、そういったものを持ちこんでいただけたら、製作は出来るんですよね。

梶川 ウチは設備があるので、そういう作りたくても作れない人の希望を具現化できる場所にしたり――後はもっと希望を言えば、今回ウチがこの欄間を削ったのは入社4年目の26歳の社員なんですけど、いつもの会社の仕事の中では決められた寸法通りに加工するしかないんですけど、自分の発想プラス最終的には正解がないじゃないですか。「これでよし」というのは自分が決める。自分のコントロールでこういうものができるっていうのは結構重要だと思うので、ウチみたいな町工場の現場に立っている人たちがぜひそういう機会を得てほしいなと思います。

enmono 社長さんとしては社員さんがアイデアを出すことや自立して動くことを望んでいるんですか?

梶川 その方が発想力が豊かになるので。

enmono 以前からそういう働きかけをしていたんですか?

梶川 ゼロからアイデアを採りだしたのは今回が初めてですけど、従来の加工方法を変えようよというのはいつも言っています。

enmono こういうものを作ることによって社内の雰囲気は変わってきましたか?

梶川 まず業務内のものじゃないですか。これを作ったことによって、ウチの売上がすぐどうこうなるわけじゃなくて、目の前の納期とかやっている中で合間を作って加工を始めるっていうことが、普通なら「できない」って言うんですけど、できるにはどうするか。じゃあ計画を立てようか。カレンダーを広げて、ココとココとココに入れるっていうのを社員同士で打ち合わせし出した。私は一切口を出してないんですよ。

enmono それはすごいですね。

梶川 「やる!」っていうだけ言って。

enmono 丸投げじゃないですか(笑)。

梶川 丸投げですよ(笑)。

enmono 今までは社員の中で調整というのはあまりなかったんですか?

梶川 協力し合うというのはもちろんあるんですけど、もっと濃くなったと思いますね。コレはココまでに終わらないと次のコレが入らないよとか、中身も濃い話をし出すようになりました。

enmono じゃあ、社員さんもジャンプ(ステップアップ)しているわけですね。

梶川 したと思います。本人たちは分からないと思うけど、「あれ? あれも自分たちで決めて進めてる」っていうものが2〜3あるので……

enmono それってすごい変化ですね。

ミュージアムの資金をクラウドファンディングで募る

 梶川氏は2015年9月〜2016年3月までクラウドファンディング(zenmono)でメタルミュージアムの資金を募る。目標額80万円に対し205万円集まり、プロジェクトゴールとなった(プロジェクト詳細:世界で1つ 町工場にメタルアートミュージアムを作りたい!)。

enmono クラウドファンディングに対して梶川さんはどんなイメージをお持ちですか?

梶川 準備がすごい大変で。想像以上でしたね。

enmono 優秀な社員さんがいないと1人では……?

梶川 そうそう、この(ファンディングの)Webページだって私はほとんど入ってません。ウチの優秀な社員が全部作ってくれました。

enmono 丸投げじゃないですか(笑)。

梶川 丸投げです(笑)。

enmono いかがでしたか?

Web担当社員 自由にやらせていただきました。

enmono それはいい表現(笑)。

一同 (笑)

enmono すごくスムーズにできあがりましたよね。

梶川 私が入ってないからなんじゃ(笑)。

一同 (笑)。

梶川 最後の「この日じゃないとダメ」っていうのが何回か続いて、自分でも「ああ、ギリギリで、瀬戸際でなんとかうまくいくもんだ」って。

enmono その日その日を。

梶川 やってましたね。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る