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「EMIEW3」に見えた、ヒトとロボットの共生(2/4 ページ)

「EMIEW3」は日立製作所が2018年中の投入を計画している、ヒト型サービスロボットだ。人間とロボットがそれぞれの強みを発揮する「共生」の思想を体現し、「役に立つロボット」であることを目指す。

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EMIEW3が踏襲したもの、しなかったもの

 EMIEW3は頭部に14本のマイク、前頭部左右の穴にカメラとスピーカー、首に測域センサー、胴体にジャイロ、後方カメラを搭載し、足元は4輪の移動機構になっている。1.5cmくらいの段差は乗りこえる。倒れたり、ぶつかっても壊れにくいよう、膝や肘に当たる部分はラバー素材で覆われている。また、膝には姿勢を制御するサスペンションが入っている。背中のグリップは持ち運びなど運用のために設けられているが、倒れたときにセンサー類が集中する頭部を直接打たないようにという意図もある。

EMIEW3の頭部
EMIEW3の頭部には14本のマイクが搭載されている
背中のグリップ
背中のグリップは持ち運び用途の他、転倒時の本体保護の意味合いを持つ

 電源を入れると、胸の部分に光るハートが現れる。これはバッテリー残量に比例しており、バッテリーが低くなると短い間隔でハートが点滅する。駆動時間は3時間くらいとのこと。リモートブレインとの通信はWi-Fiで行う。

 頭部は競技用自転車のヘルメットをイメージしたデザインで、これはEMIEW2から踏襲している。目は光らせると怖いという声もあり、あえて無表情だが、この目の部分と音声合成で出しているEMIEWの声は初代から変えていないという。ただ、目や声といった感情表現に関係する部分は今後、提供する国や地域に合わせ、必要に応じて変わっていくという可能性はもちろんあるだろう。

主要関節部分はラバー素材で覆われている
主要な関節部分はラバー素材で覆われている
移動に用いる車輪
移動に用いる脚部の車輪

 その他、EMIEW2から3に進化するにあたって、立ち止まり検知、翻訳システムとの連携なども強化されている。また、EMIEW2では機敏さを追求し、2足歩行を倒立振子で制御するという構造だったが、EMIEW3では実際に世の中に出していきたいという意図から、最低限自分でバランスを取れることを重視し、4輪走行という構造を採用した。万一倒れても、内部に搭載したジャイロやロボットIT基盤に接続された監視カメラで自分の状況を知って姿勢を制御し、起き上がることができる。

EMIEW3はジャイロの値から「転倒する」ことが分かるので、その際に腕を引き、後で自分が姿勢変換しやすいような姿勢をとる。そして、膝を使って自分の重心を崩して回転し、腕で上体を起こしながら立ち上がる(本体に比べて腕が長いのもこのため)。首の部分に内蔵された測域センサーや、外部の環境カメラを使って、自分がこの部屋の中でどのあたりにいるかをもう一度確認して、もとのタスクに戻るという流れだ

 EMIEWがいまどういう状態なのか、研究者が目を離していても状態が把握できないと安定的にタスクを行うことはできない。そういったところを機能としてきちんと整備した、というのがEMIEW2からEMIEW3のフェーズなのだ。

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