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自動運転レベル3以上に向けて動き始めた、ADAS技術開発の最新事情MONOistオートモーティブセミナーレポート(3/5 ページ)

MONOistが2016年6月10日に開催したセミナー「自動運転技術開発の最前線2016〜ADASはどこまで進化するのか〜」で、先進運転支援システム(ADAS)にかかわる各社の取り組みや、自動運転車の実現に向けての課題などが語られた。ここでは、本田技術研究所による基調講演と日立オートモティブシステムズによる特別講演を中心にセミナーの内容をレポートする。

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日立の独自性

 日立のADASの中でも「プレビュー セーリング」は独自の機能といえる。これは、センサー情報や車両の状態、前走車との距離から一定時間後の自車位置を予測しつつ、適切なエンジンマネジメントを行って燃費を飛躍的に向上させるもの。

 簡単に言うと、前走車に追い付くようなシチュエーションでエンジンをオフにして惰性で走行し、必要になればまたエンジンを動かすというような仕組みだ。同社が5kmほどのテストコースで検証したところでは、15%もの燃費向上を図ることができたという。

自車の位置速度や一定時間後の予測自車位置、前車との距離などを勘案してエンジンのオン・オフを自動で切り替える「プレビュー セーリング」。燃費の向上が期待される
自車の位置速度や一定時間後の予測自車位置、前車との距離などを勘案してエンジンのオン・オフを自動で切り替える「プレビュー セーリング」。燃費の向上が期待される (クリックして拡大) 出典:日立オートモティブシステムズ

購入後もクルマを最新の状態に保つには

 また、同社では車両のメンテナンスも想定したシステム設計を行っている。車両に搭載したゲートウェイがセンターサーバとインターネットを介して通信し、車両のECUソフトウェアをアップデートする「OTA(Over The Air)」機能がそれだ。これにより、車両の制御プログラムを最新に保つことができる。

 OTA機能については自動車販売店やメーカーが管理するためのポータルサイトも用意し、どの車両がどのバージョンのECUを使っており、どの車両にアップデータを配信するかをWeb上の管理画面から決めることができる。

 車両のユーザーはアップデータの配信がある場合にメールで通知され、同じくWeb上から実際にアップデータを自分の車両に反映するかどうかを決められる。当然ながらECUやその他車両に搭載しているシステムは強固なセキュリティで保護され、不正なECU書き換えは実行できない仕組みとしている。

OTAにより車両のECUをクラウド経由で書き換えられるようにすることも想定。メーカーやディーラーは配信対象をWeb上で管理できる
OTAにより車両のECUをクラウド経由で書き換えられるようにすることも想定。メーカーやディーラーは配信対象をWeb上で管理できる (クリックして拡大) 出典:日立オートモティブシステムズ

 同社は将来的には、ECUを役割ごとに細かく分散配置し、それらECU群とセンサー、アクチュエータ、インフォテイメント端末、テレマティクス機能などを1つの「セントラルゲートウェイ」と呼ぶシステムで統合制御する、可用性と冗長性にも配慮した自動運転システムの構築を目指している。

 ハードウェアとミドルウェアを同社が開発し、その上で動作するアプリケーションレイヤーのプログラムを自動車メーカーが開発する、という形も考えられるとし、「(日立製作所の)ICTと、日立オートモーティブシステムズのクルマにおける経験を組み合わせ、自動運転を実現していく」と力強く宣言した。

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