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空気清浄機が蚊を取る? シャープが狙う新市場小寺信良が見た革新製品の舞台裏(6)(4/7 ページ)

シャープが2016年4月に発売した「蚊取空清」は、蚊取り機能を持つ「世界初」の空気清浄機である。なぜ空気清浄機に蚊取り機能を持たせたのか、開発にはどのような苦労があったのか。小寺信良氏が探る。

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蚊をどうやっておびき寄せるのか

―― なるほど。じゃあその蚊をおびき寄せる方法がキーになりますね。

冨田 ですからわれわれも、蚊の権威の先生のところに何度も足を運んで、蚊の習性をいろいろ教えていただきました。

 まず蚊は、黒いところが好きなんです。なぜならば、飛翔能力が弱いので、すぐ休憩をしたがる。その時自分の身を隠したいので、黒いところに行きたがるんです。

 次に、すき間。蚊は影になるようなすき間に入りたがるんですね。もちろん、人間の体温、二酸化炭素などいろんなものに反応します。そういった要素の中で、取り込めるものはなるべく取り込んだんですね。

「蚊取空清」が蚊をおびき寄せる仕組み
「蚊取空清」が蚊をおびき寄せる仕組み(クリックで拡大) 出典:シャープ

―― そうは言っても、そこから製品化まで3年かかってるわけですから、そう簡単な話ではなかった、と。

冨田 色も黒がいいとはいえ、いろんな工夫しました。黒が目立つように周りを白くしたら蚊が気付きやすいのではないかということで、そういう試作機も作ったんですが、やっぱり真っ黒の方が取れた。

 蚊が入ってくる窓の大きさも、隠れたがる大きさがあるみたいで、いろいろ変えたんです。大きくても小さくてもなかなか入らなくて、今の製品のあの大きさが一番入ったんです。これはもう試行錯誤で非常にアナログ的な話ですから、気流の制御も含め、いろんな組み合わせを試しました。蚊も何種類かありますから、それらをカバーするのにも時間がかかったということなんです。

―― 日本の蚊とASEANの蚊って、同じなんですか?

冨田 基本は一緒なんですが、地域によって多少習性が変わります。現地の蚊をテストするのに、マレーシア保健省医療研究所の昆虫研究所にお願いして、こういう商品を考えているのでテストしてもらえないかとお願いしたところ、ご快諾頂けたんですね。6畳相当のテストルームで蚊が逃げられないようになっている部屋があります。ここにいろんな試作機を持ち込みまして、どうやったら蚊が取れるかというテストを繰り返し行いました。

マレーシア保健省医療研究所でのテストの模様
マレーシア保健省医療研究所でのテストの模様(クリックで拡大) 出典:シャープ

 この部屋にテスト機を置きまして、ダミーの黒い箱ももう1つ置いて、そこに蜜とか置いといて蚊が死なないようにしてから蚊を放す。24時間後に回収をする。そこで何匹取れたかを測る。1年以上かけてテストした回数が67回、使用した蚊の数1万391匹と。

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