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人が活きる教育訓練と安全衛生環境体制づくりいまさら聞けないTPM(6)(2/3 ページ)

本連載「いまさら聞けないTPM」では、TPM(Total Productive Maintenance)とは何か、そして実際に成果を得るためにどういうことに取り組めばいいかという点を解説する。第6回となる今回は、「TPMの8つの活動(8本柱)」のうち、教育・訓練と安全環境衛生体制づくりについて紹介します。そして、TPMの今後についても述べたいと思います。

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安全衛生環境

 生産現場では、「安全第一」で操業していますが、それでも機械設備の不良や取り扱いミスによって事故が起こることもあります。人が働く以上、災害リスクから人間を守らなければなりません。労働災害には、人間の作業に起因する「行動型労働災害」と、プロセスの異常による「保安事故型労働災害」とがあります。行動型労働災害ゼロ化では、作業の中に潜む危険要因を摘出して撲滅するのに対し、保安事故型労働災害ゼロ化ではプロセスの中に潜む危険因子を摘出しその撲滅を図ることになります。

 これらについても他の柱同様、ステップ方式によって現場の労働災害ゼロ化を達成する仕組みができており、大きな成果を上げています。図2に行動型労働災害ゼロ化のステップ展開プログラムを紹介しておきます。これらも自主保全の進捗と併用しながら実践することが望ましいのです。

図2
図2 行動型労働災害ゼロ化のステップ展開プログラム(クリックで拡大)

 さらに、職場におけるエルゴノミクスの推進も作業者の安全維持のために役立ちます。従業員の健康管理やメンタルヘルスなども重要であり、働きやすい快適職場の実現を目指すことを狙いに、快適性評価などを行い、常に人を大切にするための理想現場を目指す仕組みをつくり上げていきます。

 昨今、社会環境維持のための意識が高まっています。環境負荷の低減や、廃棄物を循環資源として活用するインバースエンジニアリングの実現に向けての活動も重要となります。資源枯渇、環境破壊防止としての3R(Reduce、Reuse、Recycle)の推進により、リサイクル率100%やミニマムエネルギーと回収が重要で、ビジネスサステナビリティと併せてグローバルサステナビリティに対しての貢献も必要なのです。

 地球環境を意識した活動は国・地方自治体ばかりでなく、企業はもちろん銀行や学校など、国境を越えて多種多様な形で取り組まれています。TPM活動を推進することによって、ロスゼロが達成できる、設備寿命が延びることによって、環境負荷低減のための大きな効果が得られます。

 TPM活動の各柱(活動)も環境に配慮した活動事例がたくさんあり、大きな成果を上げています。TPMは限りある天然資源を最大限活用する技術なのです。今後ますます地球に優しい技術が必要とされます。

図3
図3 環境保全とTPM(クリックで拡大)

 最近では、マテリアルやエネルギーロスを物量とコストで見える化をし、資源生産性向上とコスト低減に役立つツールとして日本主導で2011年に国際規格になったMFCA(ISO14051: Material Flow Cost Accounting)を活用している企業も増加してきています。

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