一口に「旋盤」といっても、いろいろあるんです!:ママさん設計者の「モノづくり放浪記」(3)(3/7 ページ)
ファブレスメーカーのママさん設計者が、機械系モノづくりの“生”現場を渡り歩き、ありとあらゆる加工の世界を分かりやすく解説していく連載。今回は、旋盤加工工場の安曇野ヤマダテクニカルを訪問する!
マシニング加工では固定された材料の周りをツールが移動するので、少なくともX軸(左右)、Y軸(前後)、Z軸(上下)の3つの軸についての制御情報が必要になります。ですが旋盤加工では回転する円筒が材料ですから、複合旋盤でない限り、必要なのはX軸(径方向)とZ軸(軸方向)の2軸になります。そのため「3軸以上なら3〜4日間の受講を推奨」とされるマザトロールの操作講習もNC旋盤であれば2日間で済むそうで、新人さんが現場での戦力となるための教育期間も比較的短いと思います。
そういえば、本連載の第1回で紹介した日本インテックでも、新規導入設備にMazakの最新マシニングセンタを選定されました。あえてMazakの初導入を決めた一番の理由は「マザトロール」の扱いやすさにあるとのことでしたから、その取材の記憶が鮮明なうちに、全く別の会社でこれほどの台数のMazak機が一斉に稼働している様子を拝見できるとはちょっと驚きでした。
年式の新しいマザトロールの右上に付いている“おたまじゃくし”のようなものは、無線のアンテナです。
最近のMazak機ではアフターサービスの1つとして、万が一機械トラブルが発生した時に人間がその場にいなくても、機械が自動的にオンラインサービスサポートセンターへアラームを送り指示を仰ぐ、無線監視システムが付くのです。この“おたまじゃくし”は、このシステムのアンテナです。例えば、部品加工ではしばしば日をまたいで機械を長時間運転させるケースがあり、その間、一時的に現場が無人状態になることがあります。もしもその間に機械トラブルが発生した場合に、速やかな初期対応ができて便利なシステムだと思います。こうして工作機械も進化しているのです。
これはあまり見たことがない機械ですが、フライス盤ではなく「横型ボール盤」です。ワークを立てて開けやタッピングをすることが難しい場合に活躍します。
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